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2014年1月12日日曜日

紅葉杯2013 モーション解説



 あけましておめでとうございます!そして、お久しぶりです…!(意味深)


本日は、紅葉杯のACの方々にモーションの一部(R3, Pre-OF, QF, SF, GF)について解説していただきました。大会から結構の時間が経ってしまいましたが、参考にしていただければと思います。


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R3: THW decriminalize murder for the sake of cannibalism under emergency circumstances (such as drift, blizzard, heavy natural disaster)

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1. Context/Background
 具体的なContextとしては、「ミニョネット号事件」が挙げられます。また、それと関連して「カルネアデスの板」問題も念頭にありました。どっちも概要はWikipediaに載っているので興味がある方は調べてみてください。(ちなみに少し調べたらマイケル・サンデルの著書の中でも触れられているらしいですね。)個人的には、Pre-Momijiでも出た”decriminalize”というキーワードに」注目しつつ、法学面(緊急避難にあたるのかどうか)、哲学・倫理面(功利主義や法の下の平等、人間の尊厳等)から話してほしいと思っていました。多少ラディカルな議論のようにも聞こえますが、かなり昔からずっと現実社会や法学者・哲学者の間で議論されていた根本的な問題です。少し難しかったかもしれませんが、このような根本的な問題を考えることこそが「そもそも論」を考えることにつながるため僕は有益だと思っています。

2. Suggestions for Government Bench
 やばい、殺人を肯定?!と考えていたとしたら、少し落ち着きましょう。まず、モーションが”emergency circumstance”の”decriminalize”である以上、バーデンの見せ方の工夫はできそうだと思ったら、かなりセンスがあると思います。
 法学面のアプローチである”decriminalize”で基礎となる考えは緊急避難の観点でしょう。詳しい説明は僕なんかのなんちゃって法学部生(笑)よりもしっかりとロースクールや予備試験に向けて勉強している人に譲りますが、刑法や国際法などから言われているのはおおざっぱに言うと「他によりよい手段がないとき、やむを得ずに生じさせてしまった損害よりも避けようとした損害の方が大きい場合」正当化されると言われています。したがってまずは、ディベート的に言う”last resort”をある程度picturizeすることが重要でしょう。Govとしてもrandom killingは肯定しないのは当然なのでContextはしっかりと抑えましょう。いくらモーションに書いてあるとはいえ、「20日間待ったものの食料も底をついた」「連絡手段はない、助けがくる見込みもない」のような具体的なイラストが必要でしょう。次に、避けようとした侵害>生じさせてしまった侵害を、やや功利主義的ではあるものの説明をしましょう。シンプルに多くの人が助かる可能性があがるという説明をできれば良いでしょう。ここで、緊急避難のアナロジーや、場合によっては少し遠いですが正当防衛に言及すると説得力が増すと思います。”murder”のところは普通の正常な状態の人を殺すよりも侵害の度合いはだいぶ違うというラインで逃げるのが良いかと思います。
 このようなラインをベースに、殺そうとしたときに処罰に値するintention/negligenceもなくむしろこの人たちも被害者のような状況であるという説明を加えたり、cannibalismはある程度延命につながる手段であることなどを言及して分析を深めていきましょう。具体的なContextにおいて理論的に説明しやすいのは功利主義に立つGovernmentのはずです。

3. Suggestions for Opposition Bench
 「悪そうじゃん」とは思えるものの、それを論理的に説明することが少し難しいのがOppositionかもしれません。1年生の段階で求めすぎなのかもしれませんが、モーションをしっかり読むと”decriminalize”の反対である”criminalize”をある程度サポートしたいはずで、”murder”と”cannibalism”どちらも否定できることに気づいてほしいです。
 criminalizeするべき理由は何でしょうか。まず、同意があっても身体を傷つけたり殺したりすることはまず違法だよな、というような一般常識を思い出せると楽でしょう。(ちなみに、「指づめ」も違法だなあとかと思い出せるといいですね)少なくとも3つのラインはありえます。(1)”murder”という行為はそもそも非人道的である。殺すという行為自体はしばらく一緒に日夜を共にした人の裏切りであり痛みを伴います。capital punishment等とも異なり痛みは尋常ではないでしょう。(2)cannibalismはそもそも人間の尊厳を奪う行為であり、そうしたものもそもそも法は守っている。さすがにtortureと一緒というのはここでは少し遠い気もしますが、sancity of bodyの話はできるでしょう。(3)法の下の平等を侵害しやすい(だいたい殺されるのは弱いものからだし、そもそも「生きるべき命」と「死ぬべき命」で序列をつくっている)これらがそのままArgumentになっても良いと思います。Governmentは単純な話しかできないので、多角的な視点でHarmを出しつつGovernmentが軽く見せてくる証明責任を重く見せていく努力が必要です。視点はたくさんでるのがOppositionの優越性のひとつであることは間違いないでしょう。
 なお、紅葉杯においては1年生が非常にOppositionが苦労していました。こういう視点がでてくるけれども、説明に困ったというパターンが多いと思います。確かに、「人間の尊厳」というのは説明するのが非常に難しいでしょう。ひとつのコツとしては、Analogyを言いながら実際にこういうときは守られているよね、こういう非人道的なことはしていないよねという魅せ方はありだと思います。また、具体的な状況のpicturizeも確実に必要でしょう。もちろん、それだけでは満足せず、しっかりとロジックも言えるようにしましょう。



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Pre-OF: THBT it is legitimate for states to show the full horror of terrorism.
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1. Context/Background
 今僕はマスメディアの報道についても勉強しているのですが、日本のメディアと海外メディアのひとつの大きな違いとして「どれだけショッキングな映像を流しているか」というのもあります。放送局が自粛する場合がほとんどなのですが、海外では比較的放映されやすい傾向があるらしいです。
 その問題意識をベースに、そういえばディベート界で今や最もポピュラーな音源の一つであるWUDC 2010 Grand Finalの”THBT the media should show the full horror of war.”ってあったなーと思っていてこのモーションが生まれました。ちなみにこの音源は僕の大のお気に入りでMG, MO, OWの再生回数は余裕で3桁になってたりします。
 モーションメーカーの意図としては、海外の音源なり国内の音源なり、研究対象にすることはまず奨励したいなと思っています。スピーチの見せ方だとかはかなり参考になる部分が多いからです。しかし同時に、メッセージとしてこめていたのは「見る・聞くだけじゃなくてしっかり考えろ」という部分です。”legitimate”かどうか”state”としてするべきなのかどうかは、WUDC 2010 Grand Finalとは明らかに違います。「あ、これ、音源で聞いたやつだ!」という進研ゼミ的なのりでモーションをみていると痛い目にあいます。たくさん先輩や同輩などから音源をすすめられるでしょうし、それはぜんぜん良いのですがそれで思考停止にならないでください。また、それはあくまで「参考」にするところであって、ベースは音源以外からのインプットなどが必要であることは留意しましょう。

2. Suggestions for Government Bench
 Governmentとして一番思いつきやすいのは「テロ防止への動きが進む」という話だと思います。この話を立てたいのであればいくつか抑えないといけない証明責任があるはずです。それは大まかに見ても、(1)テロがstateにとってかなり対策しないといけないもの(ex. war on terror等各国は対策をとりつつある。テロは非人道的で起きてしまう前に防がないと多くの命が奪われてしまう、等) (2)見せないといけないcontextがありうる(ex.平和ボケの時、対応が足りないとき。毎回みせる必要は当然ありません。) (3)みた後にどうテロ防止につながるのか、という3つが考えられます。シンプルな話な時はしっかりとどう深堀りするか考えられるといいですね。特に(3)は結構重要なので、しっかりsympathyが生まれるロジック・イラストはしましょう。また、テロのagendaがpublic discourseにおいて結構あがりやすくなるという話はかなり強いと思います。
 これらと付随して、fullにしないとself-censorshipが働きやすい構造などにも言及すると良いでしょう。

3. Suggestions for Opposition Bench
 Oppositionとして視点はたくさん思いつくかと思います。(1)mental harm of viewers, (2)dignity of the dead/familyあたりは最初に思いつくでしょう。ただ、これらの議論は若干単体ではGovernmentのイラストに対抗するのは非常に難しく、インパクトで比較されたときにはなかなかこれらだけで対抗しようというのは難しくなります。
 ここで肝となってくるのが、テロに対するimpactになります。ここで気をつけてほしいのは、oppositionとしてどのようなスタンスをとるかです。現状の報道(言葉とか、最低限の映像で)でいいじゃーんという安直なalternativeの提示だと、governmentにflipされかねません。それでsympathyするっていうなら、そのsympathyの度合いをあげているだけだよと。しかもそれでも、mental harmやdignityあるんじゃないの、どうするの?と強いMGがいた時「ぐぬぬ」となってしまいます。Stanceとは、Alternative/CounterplanとArgumentの間で整合性があってStanceになりますのでOppositionとしてどうしたいのかは気をつけましょう。

 テロをむしろ調子にのらせる・激化されるという話や、アメリカのように盗聴とかもオーケーになってしまうような可能性も秘めているなど、Oppositionが言える議論自体はあります。ただ、Governmentにflipされないか、スタンスとの整合性はあるかはきちんと見極めましょう。



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QF: THBT TV drama from large broadcasting company should include at least one person with disability as an actor or actress.
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Context/Backgroundのようなもの(まず何を考えるか)
モーションのキーワードであるTV dramaとperson with disabilityに関してSQを整理してみましょう。現在、テレビドラマにDisability(以下障害)を持つ俳優はほとんど出演していないと思います。またテレビドラマに限らず、そもそもそういった俳優は、少なくとも視聴者の認識的には、ほとんどいないと言ってよいでしょう。例外的にトム・クルーズなど非常に有名な俳優が該当する例もありますが(トム・クルーズはLD=学習障害)、彼らも自身と同じ障害を持つ役を演じるわけではなく、見た目ではわからない障害なので視聴者も彼らの障害を意識しないか、そもそも知りません。テレビドラマ等の映像作品で障碍者を扱う際、その障害の種類・程度を問わず、演じるのはいわゆる健常者の俳優です。
このような現状を踏まえ、なぜ障害を持つ俳優がほとんどいないのか、そうした状況はJustifiableなのか、障碍者が出演したら何が変わるか、また現在障碍者役を健常者が演じていることはどんな意味を持っているか、などの疑問や問題意識が生ずれば、かなりモーションの意図するところへ近づくのではないかと思います。また、なぜあえてテレビドラマで(しかも大きな制作会社のドラマ、つまり視聴者・社会の注目度が高いドラマで)障碍者を起用せねばならないか、その意図はなんなのかという疑問からモーションのユニークネスを考えていくことも非常に重要です。

Government : Case setting(Context/Definition/Stance)
今回のモーションはValueモーションとしてやっていくことも、細かいコンディションをつけつつポリシーとして進めていくことも可能でしょう。ただケース設定において、障碍者を「少なくとも1人」「俳優として」起用するという指定は、さりげないようで、実はかなり重要です。障碍者をできるだけ多く起用するというわけではなく、また障害をドラマのテーマにするというわけでもなく、なぜ最低一人、障碍者を俳優として出演させるのか。議論の方向性を決めるケース設定は、こうした疑問に耐えうるものであることが理想です。そしてこのケース設定は、スタンスや目指すゴールひいてはディベート全体に影響してくるものでもあります。
例えば僕がオブザーバーとして見たラウンドでは、主要な役ではないが(ストーリーにほとんど関与しない役でも可)他の人々(健常者)の中に溶け込んで一緒に働いている障碍者の役を設定し(具体的には半沢直樹が働く銀行の一従業員等)、彼らの障害ゆえの困難だけではなく、実際に社会で役立てる、役立っているという姿を自然な形で描写する、というようなコンディションがつけられていました。これはモーションの根源的な疑問に答えうるケース設定であり、またそれゆえにスタンスやゴールに直結しやすい、なかなか良いセッティングだったと思います。もちろん他にもいろいろなケースがあると思います。いくつもの選択肢がある中で、モーションの意図を汲んだスタンスやゴールを探り当て、そしてそれらに沿った(あるいはそれらを実質的に内包した)ケースセッティングを戦略的に立てることが重要です。

Government : Argumentation
様々な組み立て方があり得ますが、Philosophyからしっかり立てていくとすると、アファーマティブアクションの枠組みで攻めていくのが正攻法でしょう。民族や女性に対するもの、そして障碍者に対するその他の雇用上の優遇制度をアナロジーとして正当性を主張し、また構造的に障碍者がドラマから排除されていることによって障碍者全体に不利益があること(SQのProblem)、APでそれらが改善していくといったPracticalに結びつけ、社会的なインパクトを出していくのが定石といえます。障碍者も俳優として活躍するチャンスを得られる、そして障碍者を認知する機会が格段に増加することによって人々の理解が進む、そういった変化によって社会の差別意識が緩和されIntegrationが促進される、というのがAPで議論できる一連の内容でしょう。
テレビドラマのユニークネスに関する分析は、このような肯定的な影響を最大限拡大させ、インパクトを出す
ためにも有用と言えます。ただあまり最初からインパクトつまり社会全体の大きな問題とその解決に固執すると、メカニズムを説明するバーデンが重くなるので注意しましょう。

Opposition : Stance/Strategy
真っ向からGovernmentに対抗するならば、そもそも障碍者を出演させる必要はなく、またこのモーションは一般視聴者のニーズに合ったドラマを作るという制作会社の目的に反し、彼らの表現の自由を侵害している、という会社(視聴者)擁護のスタンスを思いつくかもしれません。それでもいいのですが、制作会社(及び視聴者)目線のスタンスは、障碍者を守りたいアクターとするGovernmentに対して、モラル的に不利になりやすいです。障碍者のためにという大きなゴールは共有し、このモーションが障碍者にとってむしろ害である、という立場で進めるのがおすすめです。SQですでにテレビドラマ(及びテレビ全般)は障碍者の権利保護や立場向上に十分貢献しており、even if 十分でないとしてもモーションはCounterproductiveになってしまう、という展開が組み立てやすいと言えるでしょう。もちろんこれが唯一の方法というわけではありません。大事なのは勝つまでの道筋を意識して議論の方向性を決めるということです。

Opposition : Argumentation
害として挙げられるのは、障碍者の役柄が制作側の誤解や偏見によって設定されることで、かえって障碍者に対するバイアスが広まってしまうことなどです。ドラマを面白くすることが制作側の第一目標で、なおかつ障碍者が主要な役ではないなら、配慮するインセンティブがない。「こんなものだろう」と安易に演出されてしまうに違いないといった説明ができると思います。具体的なハームとしては常に障碍者を弱者として描写し、劣った存在という差別意識を増幅させるといった議論があり得ると思います。またもし仮に障碍者をかなり重要な役・目立つ役で起用せねばならなくなれば、障碍者というだけで(人気俳優を押しのけて)主要なテレビドラマに出演しているなんて、という反感が広がるという議論を展開することも可能でしょう。また今回おそらくターゲットとなる障碍者に無関心な人々、差別意識を持っているような人々は、よく知らない障碍者が出演していても興味をもたないか反感をもつだけ、むしろ人気俳優が主役かそれに準ずる役で障碍者を演じていれば興味を持つし、その俳優に好感を持つからこそ、結果的に彼ら彼女らが演じる障碍者にもより共感するようになる、だからSQの方がbetterであるという説明も効果的でしょう。



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SF: Assume that a technology enables individuals to be sent to a virtual world. (It is like a crazily advanced videogame.) There, individuals can experience whatever it was programmed by the computer. It is basically same as the ordinary world in a sense they feel pain, emotions, and can even die. All of the memory in the virtual world remains, but they will not be physically hurt in the real life. (ex. even if they were killed in the virtual world, they will not die in the real world.) THW make convicted criminals experience how his/her victim(s) was/were damaged.
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Context/Background:
 僕は映画「マトリクス」が好きなのですがそれをヒントに着想しました。最近の技術発展はすごいもので、視覚・聴覚だけではなく、5感の残りでもリアルさを提供しようとしています。ゲームセンターの一部のゲームや、某巨大テーマパークのアトラクションなどで皆さんも実感していると思います。
 それと、「目には目を」のような犯罪者に対する感情ってそういえばあるなぁと考えていました。勉強会で死刑廃止の議論をしたのですがそのときもこういった議論は多く、こんなにそういうファクターを重視するのか、なるほどと思いながら聞いていました。じゃあこれってモーションになるんじゃないかな、と、「これってトリビアになりますか?」のようなのりで頭の中でくっついてこのモーションが生まれました。
 紅葉SFという特性を考えると、みんな多くの場合初めてのブレイクラウンドで緊張しているのかなあと思ったこと、また、Assumingモーションの場合は前提が変に違って議論がずれることを避けたいという思いでモーションが長くなりました。(ex.)のくだり等はいらないとは思いますし、丁寧に説明しているため削ることもできたとは思いますが、「伝える」ことを重視した結果長くなってしまいました。
 なお、KIDAという大会で似たようなモーションが出ていたらしいのは残念でした。とはいえ、この広いディベート界では同じような着想を持つことはありえると思うので仕方ないですね。また、”convicted”にも結構意味を持たせたつもりではあります。
 ちなみにこれも、R3に引き続き「根本的な問い」を考えるチャンスになります。CJSといえば、多くの人がとりあえずRetribution/Deterrence/Rehabilitation/Isolationを並べようどやぁという「ディベ中2病」に陥ります。こういうクッキーカッターは導入としては問題ないのですが、それらがなぜ大事なのか考えたり、それ以外に意図はないのかだとかを考えてはじめて意味を持ちます。思考停止に陥らないように気をつけましょう。ここでは便宜上わかりやすいと思うのでその4類型をベースに話は進めます。

Suggestions for Government Bench:
Retributionの意義からまず確認しましょう。そもそもなんでRetributionが大事なのでしょうか。なんとなく社会・個人の被害があるからというところから発想はできますが、それはまだアイディアでありArgumentにはなっていません。しっかりと意義は話しましょう。そしてそこから、なぜこの方法なのかという説明にうつると思います。「目には目を」というのは一番国民や被害者が納得しやすいということが思いつくと比較的きれいにつながりやすいと思います。多くの被害者が「同じ目にあわせてやりたい」「死刑が決まって殺された娘も喜んでいると思います」などと発言していることからも、感情的な修復にもつながりやすそうですね。被害者にスポットライトをあてるのであればここ数年被害者の参画やケアという概念が広まっているため(なお、日本はここに関して施策が不足していると批判されています)そのあたりと絡めて強いArgumentにすることができるでしょう。
 また、Deterrenceに関しても初犯・再犯に分けて説明することができるのではないでしょうか。後者に関してはRehabilitationとリンクさせると良いのではないでしょうか。Isolationは今回あまり影響がなさそうなので省きます。
 さらに、うまくvirtualだということを利用して、線引きを勝ちに行きたいところです。Govとしてもdeprivation of fundamental human rightsは否定したいはずなので。実際死なないということがどういう意義を持つのかをしっかり説明しましょう。

Suggestions for Opposition Bench:
 OppositionはRetributionの限界というのを人権との兼ね合いで説明していくのが出発点だと思います。現状でtortureなどをせず、しっかりと人権を守ることは必要です。かつ、physicalなものだけではなくpsychologicalな部分までその権利は及んでいるという説明をした後、今回はやりすぎというイラストが必要になります。ここでキーとなるのは、「被害者感情」を基準にしてはいけないという議論を立てられるかです。被害者感情は確かに修復しないといけないものですが、それを現状刑罰の世界に持ち込んでいるかは少しリサーチをしてみましょう。また、少しユニークなラインとしてはirreversibleな刑罰は基本的には行っていけないという話もできると思います。死刑とパラレルに話しておくと、面白いと思います。
 また、他にもrehabilitationに悪影響がでたり、むしろantipathyが大きくなって再犯につながりやすいだとか、またはショックを受けすぎて社会復帰ができなくなってしまうだとか、色々な話がOppositionは展開できると思います。



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GF: THW criminalize NGOs that bribed regional armed groups in order to guarantee their safety.
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コンテキスト
 まず、モーションは、「自分たちの安全を保障するために、地域武装グループに賄賂を渡したNGOをcriminalizeする」という意味です。紛争地域で活動しているNGO団体の要員が殺されたり、拉致されたりすることがあることはニュースなどで放映されたりするのでお分かりいただけると思いますが、そのようなことにされないためにNGOがその地域の武装団体に金銭的、物質的な支援を行い、その対価として要員の安全を保証してもらうことがある(逆に武装団体から要求してくる場合もあったり)と聞いたことがあったので、それをベースとしてモーションを作りました。
 モーション自体はよくある形態をしていて、いわゆる「criminalize paying ransom」モーションと似ています。アーギュメントの展開の仕方もそのモーションと似ていて、コンテキストだけ把握できればある程度容易にプレパを進めれるようにしました。GFでしくられてもまずいので…笑

ガバ
 ガバ側に注目してほしいのは、「NGOがあげた賄賂が結局どう使われるか?」だと思います。紛争地域のコンテキストにおいてのRegional armed groupsは、いわゆる反乱軍やテロー団体で、その地域の政府と紛争中であります。それをベースとして考えると、NGOからの賄賂はその反乱軍やテロー団体の武器・食糧などに変わるというところまでロジックをつなげることができ、最終的にはその地域に住む人たちや国家の治安などに悪影響を及ぼすというところまで落とすところができると思います。たとえばロングタームで見て、「賄賂でお金もらう→強くなる→ほかのNGOとかを殺したら拉致したりする→悪化」と「賄賂が減る→弱くなる→殺人や拉致自体が減って安全→もっと助けれる」を比較して見せれれば強いかなと思います。あとは、ここで地域武装グループが及ぼす悪影響に対するイラストレーションを実例などを入れて説明できれば、もっと強い印象をジャッジに残せると思います。
 その次には、その「悪影響」を「criminalize」するところまでつなげる必要があります。上で言及した「悪影響」のイラストレーションを利用しつつ、NGOがその「悪影響」まで至るConsequenceを簡単に想定できる・確信できるというところから伸ばしていくのもいいと思います。
 
オポ
 オポとしては、まずガバが提示してくる「悪影響」アーギュに対応する必要があると思います。たとえば、地域武装グループのイメージを変えて、NGOからのお金がちゃんと地域の市民にまでいきわたるロジックを説明してガバのアーギュにカウンターできれば強いかなと思います。実際、兵力の動員などの理由で地域の支持を気にする必要があり、そのためある程度の資金を地域に分配しなければいけないなどの話ができて、反軍が新しい福祉制度を導入するなどの実例もあります。そこから自然に「賄賂を使ってNGOが安全に入って人を助ける」のロジックまでつなげて、「NGOはこうやって人助けてるのになぜcriminalize?」というところまで落とせると思います。
 その次には、ガバの「criminalize」に対応しなきゃいけなく、オポからは「意図はよかった」ことや「間接的」であることなどを強調してガバとクラッシュさせればいいかなと思います。



以上が解説となります。ありがとうございました。

紅葉杯2013 Adj.Core
Yongrak Jeong
Akira Kato
Yuka Sasaki
Masaya Harata
Hisateru Heike

2012年12月22日土曜日

紅葉杯 Motion解説

10月に関西で開催された紅葉杯でCo-CAを務めさせていただきました、渡辺聡史です。本大会のモーションに関して出題者からの視点としてモーション解説をする機会をいただきましたので、予選から3つ、こちらに掲載させていただきます。参加された1年生みなさんの今後のために少しでもお役立ち出来れば嬉しいです。


THBT gifted students should be taught separately from their peers.

欧米など導入されている、いわゆる「ギフテッド・アンド・タレンテッド教育(GATEやTAG)」に関してのモーションです。Gifted studentsは、英才児、優秀児、天才児と解釈されます。その定義は国や地域によって異なるものの、一般的に知能検査によるIQなどを反映し、上位数%の児童が該当すると言われていま集められて、普段の授業よりも複雑で困難な学習課題に取り組むことになっていたり、個人の興味に合わせたプロジェクトや学習内容が選べるような環境が整えられています。

このディベートで特に重要であること、そして出題者として1年生のみなさんに意識をしてもらいたかった事は、Gov、OppそれぞれのサイドでProblemやHarmを具体的にイラストするということです。それは子供の将来などの時系列的な意味でも、実際の教育現場という意味でも言えることだと思います。
大きな争点は、多様性をどこまで認めた上で教育が与えられるべきか、ということだと思います。それぞれのサイドでどのような議論が展開できるか考えてみましょう。

・Govとしては、gifted studentsにとって同輩と受ける、均一な教育が如何に不適切であるかを分析しなければなりません。生まれながらにして平均より顕著に高い能力をもつ彼らにとっては、学習内容が本人の能力や興味とかけはなれているため、課題に集中できなかったり、周囲の誤解や批判を得るような反社会的な行動をとることが考えられます。例えば、繰り返しや暗誦することに非常な抵抗感を示したり、グループ共同作業ができずにクラスを乱す行動をとる子供などです。従って学業成績に支障が出たり、集団から孤立することも考えられます。また、逆に周囲に同化しようとするあまり、意図的に能力以下の成績を修めようとするあまりストレスを抱えてしまう児童も想定できます。
 従って他の生徒とは別に教育を受けることで、その高い能力に応じた教育内容を提供するだけでなく、ギフテッドゆえに経験する様々な学習や生活における困難をできるだけ軽減することができると言えます。
 ・教育というのは、個々の生徒が持つ才能や可能性を伸ばすものでありニーズを満たさなければならない、そのように平均的な教育にマッチしない子供の多様性を尊重する必要があるなどと議論が展開できるでしょう。その例として、障害児に対しての特別支援教育などが挙げられます。他の生徒と同じように教育を受けることが難しい、もしくは特別なケアが必要な児童のための学校が用意され、特別な施設や先生の元で教育が受けられています。

Oppサイドに視点を移してみましょう。
Gifted studentsにとって何故、大多数の標準的な生徒を中心にした同輩の子供と同じ環境で教育を受けるべきなのか、それができなくなると彼らや学校そのものにどのような問題が生じるのを示しましょう。様々な視点で議論を展開できると思います。
・ギフテッド教育を受けた子供は「普通の」学校や子供時代を体験し損ねてしまうことです。「普通」というのは、勉強・スポーツ・芸術、いかなる基準で様々な特徴を持っている生徒と触れ合いながら生活する機会を持つことで、自分以外にも多種多様な人や価値観が存在するということを身をもって学ぶことです。ごく限られた人間にしか認められないギフテッド教育は、その貴重な経験を享受できる学校教育の機会を奪ってしまうことになります。そうして年を重ねたgifted studentsがどのような大人になってしまうかイラストレーションすることによってこのポイントは非常に有効なものになると思います。
・他の生徒に目を向けると、クラス分けによる差別感が生まれるという批判に加えて、友人関係に亀裂が入る、自尊心を傷つける、下位グループとみなされた生徒達は学習意欲が減退するといったことも指摘できるでしょう。ギフテッド教育は、ギフテッドの生徒が仲間はずれにされたり、いじめの元凶になってしまうという問題を生み出してしまいます。
・教育の現場で不必要なトリアージが行われることも挙げられます。ギフテッド教育に充てる特殊なカリキュラムは学校や教育そのものが持つ人材や財源を吸い取ってしまい、他の生徒に渡るべき人的資源や経済的資源が減ってしまいます。障害児への特別支援とは、その必要性が全く異なるため、優先順位がさほど高くない、また勉学の面では学校以外の場面でギフテッドの生徒にも適切な負荷を伴うチャレンジをさせることができるなどと考えられます。

THBT all the judges and juries should be the same sex of victims in the trial of sexual crimes.

ここで意識してほしかったのは、チームとして守りたいstakeholderはどんな人なのか、チームとして守りたい価値は何なのか、なぜ守られなければならないのかを明確化してほしいということです。平等の重要性について議論する場合、何をもって平等なのか分析しなければなりません。

・Govは一貫して「性犯罪における被害者を裁判において守らなければならない」というシンプルなスタンスを敷くことができると思います。「なぜ性犯罪での裁判なのか」、「何故裁判官・裁判員が同性でなければならないのか」という理由付けをしっかりしていきましょう。
・そのために、性犯罪での裁判における被害者へのインパクトの大きさを説明しなければなりません。裁判に出て、自分が被害を受けたことを証言することは「セカンドレイプ」と言われることがあります。ただでさえトラウマになってしまうような忘れたい記憶を大勢の人の前で呼び起こされ、晒されてしまうからです。例えば、レイプにあった女性がいつ、どこで、どのように襲われたのかを詳細に思い出さなければなりません。場合によっては、実際に模型などを使って当時の状況の鮮明に再現をする場合もあります。重大なことは、裁判官が男性の時は、それを彼らに向かって行うということです。男性という存在自体に恐怖を覚えるような事件を体験した後、被害者の女性がどのような心理状態でしょうか。そういった理由から性犯罪を受けた約70%もの被害者は裁判にでることなく泣き寝入りをしてしまう現状があります。そのように行われる裁判が如何に被害者にとって公平でないか強調していきましょう。
 ・加えてAPについて、被害者にとって裁判がどのように変化するのかを説明していきましょう。その時に被害者と同性の裁判員が同情を抱きやすくなるという分析が両サイドともでると思いますが、Govはそれを肯定しなければなりません。例として、裁判員制度の導入目的というのはそもそも、法律家だけでなく一般市民に裁量を与えることで、市民の刑量感覚をより反映したいという意図があります。それと同じように、その同情というものは一般的な感覚を取り入れることに繋がり、むしろよいことだと言えると思います。

・Oppについては、裁判官・裁判員が全員、被害者と同性になってしまうことによって裁判の平等性がくずれてしまうという議論が展開できると思います。被告だけが男性、原告と裁判官、裁判員がすべて女という構図でどのようなことが起こるかということを明らかにする必要があります。
・まず大前提として「疑わしきは罰せず」という謳い文句のように、判決が出されるまで被告も原告同様に守られるべき存在であることを指摘しましょう。GovのAPのシナリオでも出てくる同性という存在であることから生まれる無意識な同情が、被告に明らかに不公平な判決や不必要な罰則が与えられてしまう。何をもって不公平、不必要とするかの説明は難しいですが、裁判での判決というのは過去の事例や科学的な根拠など客観的な判断基準に重きが置かれるものであり、感情的な要素を持ち込む事自体が危険であると言えるのではないでしょうか。
・更に、裁判員に選ばれた一般市民に心理的なプレッシャーを与えてしまうことに触れられれば有効だと思います。女性であるから女性が被害者の性犯罪の裁判員に選ばれたという事実は「原告を守らねばならない」というメッセージを帯びてしまいます。更に、法律のプロでない陪審員にとって裁判はまさしく非日常そのものであり、そのような場面で人は「かわいそうだ」などという感情に無意識に流されてしまうというメカニズムを深めることもできます。

THW drive out food companies once they deceive consumers.

予選のモーションの中で難しかったという声が最も挙がったモーションだったと思います。特にGovサイドにとってはハードなスタンスを取らなければならず、苦労した1年生も多かったのでないでしょうか。
モーションムービーにも銘菓「赤福」の食品偽装の件が出ていましたが、個人的に赤福は大好きなので非常にやりづらいと思います。冗談はさておき、ここでよく考えて欲しかったことはモーションのキーワードを大事にするということです。なぜ「food company」なのか、なぜ「once」、なぜ「drive out」でなければならないのか必ず触れなければならないと思います。

それぞれのサイドで議論を見てみましょう。
 Govですが、「食品偽装は絶対にあってはならない、したがって多少厳しいとしても追放は必要である」という開き直りのようなスタンスをとることになると思います。そのために、まずなぜ政府が食品偽装をする会社にこのようなハードなスタンスをとらなければならないのかという部分です。
・まず食品会社の特徴を捉えましょう。人々が毎日口にする商品を供給する責任というのはどのようなものでしょうか。また、食品以外の産業と比較して、企業と消費者の間で情報の対称性が保証されにくいといえるでしょう。
・そして賞味期限、生産地、原料の偽装などでは、食中毒などで健康被害がでることがない限り、直接的な被害にスポットライトがあたることが少なく判明しづらいと言えます。従って現状では内部告発による摘発に頼ることが多いですが、そもそもモラルに依存する内部告発に頼ること自体がスタンスとして弱いことに加え、内部告発者を保護するような法の整備が進んでいないのも現状です。
・資金繰りなどが行き詰まり、生き残りのために手を染めた食品偽装ですが、一度見つかってしまい、罰則を受けてしまっても時間の経過とともにほとぼりが冷めると、また偽装を行なってしまい連鎖を断ち切ることができないことも挙げられます。一度でも摘発されれば二度と戻ってくることはできないというAPでは非常に強い抑止を持つことになります。

Oppはいくつかの話で議論を展開できます。
・まず、「責任論として全ての従業員に影響を与えるプランはやりすぎではないか」ということです。そのために食品偽装がどのようなメカニズムで発生しているのかを説明する必要があります。よくあるケースとして、食品の管理などの決定権を持つ上司が出す命令に末端の従業員は従わざるを得なかったというものがあります。大多数が偽装の事実自体さえ知り得なかったこともあります。そのような背景で、すべての従業員や彼らの家族の人生に多大なインパクトをもたらすほど、責任を問うてもよいのかということが言えます。食品会社という集団において責任を持つべきなのは、誰なのか分析しましょう。

・そしてもう一つ、政府が徹底的に防止に努めるためにハードなスタンスが必要と言うGovに対して、「食品会社が市場に復帰するかどうか決めるのは、政府が一方的に決めるのではなく、消費者や市場原理に委ねるべき」とSQを肯定することです。消費者の信頼を裏切った時の影響が自分たちでわかっている以上、そもそも食品偽装は行わない。仮に行なったとしてもその時重要なのは適切な罰則を与え、反省・更生の機会を与えることであると主張できます。たとえば、先ほども出てきました赤福や、他にも雪印など過去に食品偽装があったものの、現在では復活しています。それは、SQの罰則での償いと更生の結果、消費者にもう一度受け入れられる企業像を取り戻すことができるからだという事ができます。




以上が解説となります。
上記以外にも様々な視点があると思いますのであくまでアイデアの一つとして役立てて頂ければ幸いです。

渡辺聡史
大阪府立大学工学部航空宇宙工学科
2012年度JPDU関西代表, 2011年度OPU Parliamentary Debate Chief,
紅葉杯2012 Co-Chief  Adjudicator,  JPDU Autumn Tournament 2012 Quarter Finalist

2012年11月19日月曜日

JWDC Motion解説


初めまして、1st Japan Women’s Debating ChampionshipのCo-CAを務めました、東京大学4年の富田蓉佳です。ICUの織戸未幸ちゃんと、会議を重ねてモーションを決めました。大会から時間が経ってしまいましたが、モーションの解説をしたいと思います。

 

Round 1: THW legalize active euthanasia for terminally ill patients.

     R1のモーションは古典である THW legalize euthanasiaを少しひねったモーションです。Active euthanasiaとは積極的安楽死で、死を目指して積極的な行為(例えば死期を早める薬剤を投与すること)のことである。その対照がpassive euthanasia (消極的安楽死)であり、これは延命治療を中断するなど、間接的に死期を早める行為です。卒論でオレゴン州の尊厳死法について書いているので、ぜひ安楽死系のディベートが見たい、という個人的な理由で出しました(笑)

     このモーションは簡単に言うとfreedom of choice vs. paternalismというクラッシュになります。GOVからは、安楽死とは末期患者にとって選択肢の一つであり、自分にとって何が一番良い選択かは患者本人が一番よく知っているので、患者の判断に任せるべきである、というphilosophyを軸に議論を立てることができます。OGからおそらくこのphilosophyは出てくると思います。一方のOPPは、患者は冷静に物事を判断することができないので、政府が介入して安楽死のようなirrationalな選択をしないように守らなければならない、というスタンスが取れると思います。モーションにあるterminally ill patientsは特にどういう患者なのか、というuniqueness分析があればいいと思います(末期患者はうつ病であったり、冷静な判断をできる状況でなかったり、家族から安楽死を進められているなど)。

   次に、practical consequencesに入ります。まずGOVからは:

  ①    末期患者が尊厳を保って死ぬことができる

このポイントは末期患者が自分の意志で安楽死を選択した、ということが前提になります。SQでは病院の中で様々な機械につながれて、一人で移動や食事ができないなど、著しくquality of lifeが悪化して人間としての尊厳が保たれていない患者が安楽死を選択することによって、現状の生活から解放される、というbenefitを挙げられます。SQが患者にとって良くないというイラストがあれば効果的だと思います。

OPPからは:

①    安楽死という選択はcoercionかもしれない

ここではまずGOVが「安楽死は患者が自分の意志で決めたものだから尊重するべき!」という前提にdoubtをかけます。治療費が莫大の場合や遺産相続などの理由で患者の家族が安楽死を薦めてくることも考えられます。このような状況で患者が安楽死を選択した場合は、本当に自分の意志とは言えません。こういうharmが起きるからこそ、安楽死は選択肢として与えるべきでない、という議論が出来ます。

②    病気が治る可能性、または誤診がある

余命宣告が必ず当たるわけではないので、病気が治る可能性はあります。また、誤診という可能性もあります。仮に治る可能性や誤診の可能性が1%と低いものであっても、患者が健康になるかもしれません。しかし、安楽死を導入してしまうと、患者は余命宣告をそのまま受け止めてしまい、治る可能性や誤診があっても諦めて安楽死を選択してしまう可能性があります。このようなことを防ぐために、最初から安楽死は禁止する、と言えます。

「クロージングには厳しい」という意見もアンケートでいただきましたが、クロージングで出来るのはterminally ill patientsというはどういう人なのか、重度の病気を患っている患者とどう違うのか、や医師のroleは何なのか、など、個々のアクターを分析することだと思います。BPの難しさの一つは、extensionだと思います。クローシングでラウンドに貢献する練習になって欲しいな、という思いでこのモーションを出しました。

 
Round 2: THW not expel Roma people from the country in the EU in exchange for sending their children to state boarding schools.

   このモーションはAC陣オリジナルのモーションです。Roma people, EU, state boarding schoolsと、色々な単語が出てきて複雑なワーディングでしたが、訳すと「ロマの人々が国が運営する寄宿学校に自分の子供を入れる代わりに、国が彼らを強制送還をしない」になります。
 コンテキストはフランスで行われているロマの強制送還です。少し背景説明をしますと、ロマとは移住型民俗です。彼らはヨーロッパで激しい迫害と差別を受けた過去があり、現在でも迫害と差別は続いています。近年ヨーロッパには1200万人程の人口があり、フランス政府によると、そのうちの約1万5000人がフランスにいます。ロマはヨーロッパの国々で迫害を受け、貧困や低識字率に苦しんでます。2010年にフランスはロマが住んでいる不法住居キャンプを取り壊し、ロマをルーマニアとブルガリアへと強制送還する政策を始めました。ロマがいると治安が悪化する、という理由で始めたフランスの政策は、世界中から人権侵害である、と非難されています。

      GOVとして取れるスタンスは、「social integrationは大事」というものです。EUの国のboarding schoolにロマの子供を入れることによって、ロマの子供達はその国の言語、歴史、価値観、文化などを学ぶことができ、それらを学ぶことによって社会に出て暮すことができるようになります。現状でロマの人々は教育へのアクセスがなかなかないため、社会に出ても職を得られず、生活することが困難になっています。いかに教育が重要か、という説明がここでは必要だと思います。なのでGOVとしては:

①    SQの説明

ロマがどういう人達なのか、現状ではどのような状況に置かれているのか、などをまず説明すること。

②    Why integration to European society is important

どうしてboarding schoolに入れてまで、教育をしなければならないのか、という説明です。学校で言語、歴史、価値観、文化などを学ぶことによって、ロマの子供達は将来社会に出るための準備ができます。長年の迫害によって、ロマの子供達はヨーロッパの子供達と同じスタートラインに立っていません。だからこそ、EUの国の教育を受けて、少しでも同じスタートラインから出発できるようにすることが必要である、という議論ができると思います。教育を受けるベネフィット、そして教育を受けないハームまで説明できると強くなると思います。

             
  OPPとしては少し議論しにくいと思いますが、forced integrationはロマにとってharmfulである、という議論ができると思います。確かにモーションでは、子供を学校に入れる代わりにヨーロッパの国に住むことが認められますが、自分の子供を異なる文化の学校に入れることはどういう意味か、ということを考えるのが重要だと思います。Boarding schoolだと一年の大半を親元を離れて暮らすので、ロマの文化に触れる機会が少なくなってしまいます。更に子供達はホスト国の価値観や文化に常に浸っているので、ロマの文化を学ぶことを嫌がるかもしれません。「ロマの文化は大切!」だけでは不十分なので、どうしてロマの文化がロマにとって重要なのか、どうしてその伝統であったり生活習慣が失われてしまうといけないのか、どうしてロマの子供達がロマの文化を学ぶことによってロマ文化の継続につながるのか、などの説明もしましょう。

 
Round 3: THBT the feminist movement should oppose affirmative action for women.

    JWDCは女性ディベーターのための大会でしたので、一つは女性関係のモーションを出したいと思い、このモーションにしました。現在、女性枠であったり、女性を優遇する制度が度々見られますが、これは本当に女性のためになっているのでしょうか。このような制度は女性の活躍を妨げているのではないのか、など、一人の女性として色々考えさせられるモーションだと思います。

    このモーションの基本はfemale quotaやaffirmative actionのモーションとほとんど同じですが、注目していただきたい点は、feminist movementです。単にTHW introduce affirmative action for women、ではなく、フェミニスト観点からAAを見たとき、それは女性にとって良いものなのか、それともそうでないのか、という議論もして欲しいと思います。

まず、GOVではaffirmative actionは女性の活躍を妨げている、というスタンスを取ると思います。

①     Affirmative actionがあるため、女性はいつまでも周囲に見下されてしまう

Affirmative action(積極的優遇)を取り入れると、女性の雇用や教育の機会は増えますが、一方で女性の実力ではなく、AAによってその内定や大学の席を確保したと思われる可能性があります。女性の能力が無視されて、どんなに頑張っても「AAのおかげで入れた」というレッテルが貼られてしまいます。これは今後女性が活躍するためへのハームになってしまう、という議論ができると思います。

②     Affirmative actionは女性と男性が平等でないことを認めている≠feminist movement

これはAAのベネフィット・ハームを分析するのではなく、フェミニストの観点から見たときに議論できるポイントだと思います。フェミニズムは女性解放の思想・運動であり、様々な局面(政治的、社会的、法的、性的など)の自己決定権を求める運動を展開しました。中でも法における男女平等の実現を目指してきました。AAは「現状で女性と男性は平等でないので、積極的な優遇を行って男女平等を実現しよう!」という政策なので、フェミニストのスタンス(=男女平等)とは若干ずれています。なので、フェミニスト達がAAを支持するのは、フェミニスト達が長年戦ってきた思想と異なる、という分析ができると思います。

 
    OPPに関しては、AAの必要性とそのベネフィットをベースにした議論が重要です。

①     現状では男女は不平等であり、その不平等を解消するためにAAが必要

現状で男性と女性が完全に平等である、とは言い切れません。例えば企業の採用を見ると、ほとんどの場合女性よりも男性の採用の方が多いです。企業の管理職を見ても、男性の方が圧倒的に多いです。この問題を根本的に解決するためには、女性に機会を与える必要がり、その機会を与えるのが、AAである、という考えです。

②     AAがあるから、女性の機会が増えている

実際に雇用や大学受験で女性のAAを行うことによって、女性が大学に入学したり、大企業に就職して、活躍しています。彼女達のイラストを挙げて、AAのベネフィットを説明することができます。

他にも両サイドから色々言えるポイントはあると思いますが、基本はこのような感じだと思います。メインのフィロソフィーはオープニングで出てしまう可能性が高いですが、クロージングはその分、細かいアクターの分析やイラストができると思います。

 
GF: THBT the international community should use bounty hunters to capture or kill enemies.

  GFは面白いモーションを出そう!ということで、このモーションにしました。モーション会議で一番最初に決定したモーションです(笑)

   議論の軸としては、インターナショナル・コミュニティが敵や犯人を捕まえて国を守るために、どこまで権限を拡大していいのか、bounty hunterとはどういう人達なのか、利用する必要性はどれほどあるのか、というところになると思います。

   まずGOVでは、危険な敵(テロリストなど)を捕まえるためには、現状の方法では不十分なため、bounty huntersが必要、という視点が重要です。

①    政府(インターナショナル・コミュニティ)は市民を守る必要がある

政府には自国の市民を守る必要があり、インターナショナル・コミュニティ(IC)には世界の人々の安全を保障する役目があります。そのような義務を担っている政府・ICは、どんな手段を用いても安全を確保する必要がある、という議論です。

②    現状の手段では敵を捕まえることが困難

今回のモーションの対象はテロリストだと思います。例えば、テロリストの幹部などは自爆テロの計画立てて、その計画が部下によって実行された時に多くの犠牲が出てしまいます。そのため、部下だけでなく、幹部を捕まえることが重要になります。ただ、SQの手段では捕まえることが非常に困難なので、bounty huntersを利用する→犯人捕まえる→市民の安全を確保する、という流れの議論です。

③    Bounty huntersとは何か?

重要になるのは、bounty huntersの分析だと思います。どうしても映画や漫画に出てくる人達の印象が強いですが、彼らをどうイラストするかによって、ラウンドが左右されると思います。GOVではbounty huntersとは警察や軍隊が入れないようなところに潜入し、テロリストを捕まえることができる、や、現地のコネクションが豊富なのでテロリストに関する情報を入手しやすい、など、bounty huntersのuniquenessを出すと効果的だと思います。一つの例ですが、アメリカの賞金稼ぎは保釈保証業者(保釈金を立替する人)から逃亡した人を捕まえるのが主な仕事です。彼らは警察と違って、州を跨いで追跡をすることができるので、州の警察よりも効率良く逃亡者を捕まえることができます。

 
     一方OPPは現状肯定をベースにした議論ができます。

①    犯人を捕まえるのは国の警察、軍隊で十分できる

現状のシステムを肯定する議論です。現状では国の警察や軍隊・特殊部隊が犯人を捕まえて、国で裁きますが、このように国際法を則った手段で犯人を捕まえるべきである、という議論です。国やICが捕まえることによって、彼らにはaccountabilityがありますが、bounty huntersを利用すると彼らには責任が問われないからです。

②    Bounty huntersとは何か?

OPPからは、GOVが提示したbounty huntersの分析を否定し、自分達の分析を出すのが重要です。実際bounty hunterには誰でもなれるので(アメリカの一部では試験があるみたいです)、軍隊のようにしっかりと訓練を受けたわけでもなく、ただお金の為に動いている人である、というcharacterizationができます。Accountabilityがないのでテロリストを捕まえるために一般市民を傷つけたりしてしまう可能性がある、などのイラストができると思います。このように、bounty huntersを使用することによって状況が悪化してしまう、というような議論につなげられたら更に効果的です。

 

JWDCの決勝では、bounty huntersの様々な分析が出て、特にクロージングでもbounty huntersを利用することによるベネフィットやハームの深い分析が出ていたので、とてもいいディベートだったと思います。

 
以上がモーション解説になります。もちろんここに書いてある分析以外にも、たくさんargumentはあると思いますので、プレパ練をやって色々考えてみてください^^ 今回の解説が参考になれば幸いです!

 

富田

2012年3月28日水曜日

TANACUP 2011 モーション解説 前編


。
遅くなりました。きっと加藤は怒っていることと思います。(笑)
今回のタナカップは世界大会に向けた準備ということで、モーションもJapan BPのやや斜め上をいく難しさをイメージして考えました。拙いですが、参考にしてもらえたらと思います

R1
THW prosecute citizens who acted as human shields.

コンテキストとしてはパレスチナやリビアです。ガダフィーがhuman shieldを使ったのは1年ほど前に話題になりました。細かい話は割愛しますが、気になる人はウィキペディア(英語版)で調べてください、けっこう出てきます。
Govとしては、まずpunishではなくprosecuteであることがポイントだと思います。全員を審議なしに無罪にするのではなく、とりあえずcourtに送る必要性はあるという発想からargumentが出てくると思います。
①戦争が長期化し、被害が拡大した。(consequence)
指導者を捕まえることがなかなかできないために、周辺地域での紛争は続き被害は拡大します。これはHarm to othersに当てはまると言えます。ここで重要なのはhuman shieldのため、戦争の収束が遅くなっているということを証明することです。当たり前のようで、意外とイラストが重要なので考えてみてください。
②human shieldに関わった人の意志は分からない。(incentive)
確かに一般人が巻き込まれる形でhuman shieldとなった場合もありますが、そうではないケースもあります。つまり、自由意志で加担したということです。実際、リビアの場合もガダフィー軍の武器庫を守っていた市民もいたようで、courtに送って審議する必要はあるということになります。ここで重要なのは、ガダフィー軍などの攻められている側に加担することがprosecute(この場合はpunishでもいいかもしれません)に値することを証明する必要があります。僕が見たラウンドでは、この点をOppはうまく突いていたように思います(後述)。さて、実際に攻められている時点で、多くの場合は倒すべき悪だと認識しているということが言えます。その悪に加担することは罪だとなります。事例やイラストを引っ張ってください。
③warにおけるcivilianの位置づけ
戦争において、一般市民には攻撃を受けないという絶対的な保護が与えられています。これにより戦場において市民は大きなadvantageを利用して、その結果human shieldのようなmilitary operationを阻害することにつながっているという考え方です。そのインバランスを整えることがprosecuteだとも言えます。これも兵士が攻撃できないことで受ける損失を上手くイラストする必要があります。

なんとなく煮え切らない感じですが、Oppに移ります。

Oppとしては、Govと同じくprosecuteまでopposeする必要があります。
①Freedom of Expression
human shieldは1つの表現だというアイディアです。たとえ世界を敵に回している独裁者であろうと、市民は誰を支持しても構いません。問題は、ⅰ)支持の方法としてこれが適当かということ、ⅱ)独裁者を支持する権利はあるのかということです。特に、軍が侵攻して来ている状況では市民にできることはかなり限られています。実質的な効果を上げるためには、軍の前に出て命を張るしかないと言えます。さらに、独裁者を打倒しても将来が望ましいとは限らないと言えます。ここでイラクの例は使えると思うので、調べてみてください。
あと小さいですが、自分のpropertyを守るという名目でhuman shieldとなっている人もいると思うので、多くのケースが想定できます。
また、

こんな感じで、細かいイラストやリーズニングを考えていくとクロージングまで残るかなぁというかなり楽観的な思考で出してみました。


R2
THW prohibit credit rating companies from downgrading the debt of countries which are in the process of fiscal reconstruction with the assistance of the IMF.

最初はtechnocracyを出そうとしたのですが、直前の海外大会で出てしまったので、差し替えました。ちなみに最初は「格付け会社ではなくIMFに評価させる」というモーションでしたが、なんか違いが見えにくいという不平・不満により、えーい、完全に禁止じゃー!という勢いで誕生した力作です(笑)
コンテキストとしてはギリシャです。国債の評価によって金利なども決定されるため、社会に与える影響は大きいと言えます。

Govとしては、IMFだけでは不十分という視点が大切です。
ⅰ)人々がまだ国債を買ってくれる。
信頼があるということで、国に投資してくれるということです。個人向け国債には特に影響を及ぼすと思います。
ⅱ)企業の誘致もしやすい。
国債の評価は国の通貨や組織そのものに対する信頼性にも関わっていると考えられます。一定の評価を得られれば、特に海外からの企業がビジネスを展開しやすくなると思います。
ⅲ)長期的にみて国債を返済しやすい。
格下げされないために利率が高くなることを防げるので、国債の返済もしやすくなります。特に経済の再建は長期的な課題となるので、長期的な負担を減らしていくことは大切だと言えます。
ここで、格付け会社の自由を奪っていることに注意しなければなりません。社会に与える影響が大きいから介入はOKというだけでは味気ないので、そもそも格付け会社のビジネスは各国の経済が成り立っている(存在している)から可能だとかいったもっともらしい理由も加えるようにしてもらえると嬉しいです。

Oppとしては、逆に投資が減ってしまうということがベースです。
ⅰ)買い手が正しい情報をもとに判断できない。
例えばAPではIMFが介入している国の国債がBランクで固定されたとしましょう。Bランクかもしれないし、それよりも下かもしれないというあやふやな情報しかアクセスできません。その結果、国債を買わないという選択をとることになります。(ちなみにそれでも買うというのがGovの主張です。)この辺りはイラストが重要です。この発想の前提として、格付け会社の信用はかなり高いということがあります。数年かけて調査を行い、国債の信用度を決定しているようです。日本についても震災、赤字の増加、不安定な政局といった包括的な理由により格下げが決まったそうです。多くの人がこの情報に頼っているからこそ、情報の質は保つ必要性があるということになります。
ⅱ)短期的な資金調達をしにくくなる。
若干うそくさいですが、上述したように評価が低いと利率が高いので、買ってくれる人が増えるというアイディアです。
ⅲ)自由や権利についての話。
会社の評価を付けるという自由が侵害されています。また、市民の知る権利が侵害されています。確かにGovが言うようにfiscal reconstructionが達成できればいいかもしれないが、100%ではありません。もし、他の要因(災害など)で事態が悪くなったらどうでしょう。格付け会社は自社の信頼を失い、国債を買った市民も経済的損失を受けます。これは政府が規制したからです。third partyをこういったリスクにさらすことは正当化できません。なぜなら、IMFの介入が必要となったのはこの投資家や格付け会社の責任ではないからです。自己責任論の延長です。うまくパッケージすると、格好いいargumentになるのではないでしょうか(笑)

クロージングは結構きつそうで、申し訳ありません。

(続きます)

石河敏成 東京大学薬学部3年。Tanacup Chief Adjudicator。 BP Novice 2011、Japan BP 2011, 21st ICU Tournamentでもジャッジブレイク。
Spring JPDU Tournament 2010準優勝、North East Asian Open 2010 EFL準優勝。

2011年10月6日木曜日

Gemini Cup 2011 Motion解説 Part 3

OF: THW prevent criminals from publishing descriptions of their crimes
CAをやることが決まった当初から、この種のモーションは入れたいと思っていました。国際大会でよく出ますし、そのくせ難しいからです。社会に存在するある言論が、目に見える形で社会に影響を及ぼすという証明は簡単ではありません。(ただ、今回対象としているspeechそのものが犯罪についてということで、SQで言論が及ぼしている悪影響の証明は比較的易しかったとは思います)また、free speechモーションでは、ある言論の与える影響をイラストすることが必ず求められるため、そのスキルを測る上でもいいモーションといえます。

Govですが、まずはケースの前に「descriptions」を明確にしておきたいところです。ここでいうdescriptionsは、主に犯行時の著者の心理状態、犯行に至った経緯、犯行時の詳しい様子など、広い意味でのdescriptionsを指すと考えていいと思います。Govのケースですが、一文にまとめると、このspeechが犯罪を引き起こしている、となります。具体的なプロセスとしては、現状で罪を犯す一歩手前の人を犯罪に走らせるとか、何か問題を抱えている人に犯罪という選択肢を与えるとかでしょう。ただ、これだけでは到底speechが犯罪を引き起こしているとは言えません。Govとしては、著者と似た境遇の人間はspeechに無防備であり、counter discourseは耳に入ってこないと言えます。それに著者自身が書いている分、自分の行動を正当化するような言説になるといえます。正当性のある書物や人物との繋がりを示すことで、犯行を正当化する手法もあるようです。遺族の精神的苦痛も言えるでしょう。Speechが実社会におけるハームを引き起こしていることを証明したあとは、SQでhate speechやholocaust denial等を規制していることを引き合いに出して、言論の自由への政府の介入を論じられるでしょう。あとは、全く新しいアプローチとして、刑罰の観点から、犯罪者の権利は制限されるべきという議論もできると思います。

Oppのほうが見えづらいかもしれませんが、色々いうことはあります。まず、犯罪者の言論の自由は守れます。Govは既に罪を犯した人間であるから、人権は制約できると言ってくるでしょう。Oppとしては、犯罪者であったとしても、基本的人権は常に保障されなければならず、言論の自由は基本的人権であるという強固なスタンスに立つべきです。言論の自由の重要性の見せ方ですが、Govも同意するであろう良心の自由と、言論の自由は切っても切り離せない関係であることを押さえ、自由に考えたことを表現できないと、自己実現はないと言えます。これと少し関係して存在する議論として、自己表現を通して社会と繋がりを持つことで、更生にも貢献していると言えます。次に、どうしても言論の与える悪影響についてGovとクラッシュすることは避けられません。このSpeechが犯罪を引き起こしていないと言いたいですが、たとえ犯罪の一因くらいになっているとしても、それが犯罪に繋がったかどうかはあまりにarbitraryであり、またその犯罪の責任を著者にだけ求めることは不正とも言えます。また、Oppで強いのは、AFTで言論がcounter discourse の存在しないundergroundで存在し続け、この言論への全体のアクセスは減っても、Govのいう一部の人間はアクセスし続けることで、より犯罪に走り易くなるというハームを出せます。

QF: THBT the United States should send its troops to Mexico to fight against drug cartels.
このQFモーションは僕が大分前から温めていて、出したかったモーションです。どこかの独裁国家に侵攻するのとはまた一味違うモーションなので、面白いです。

まずは簡単に背景をみてみましょう。最近よく海外のメディアを賑わせているメキシコでの麻薬戦争ですが、コロンビアを始めとする多くの中南米諸国で何十年と存在してきた問題です。メキシコでも、Medllinなどのコロンビアのカルテルが弱体化するとともに、90年代からメキシコで麻薬カルテルが勢力を拡大しました。2006年にカルデロンが大統領に就任し、軍を動員して麻薬カルテルとの戦争を開始しましたが、カルテルの影響力は増加傾向にあり、戦闘や犯罪による死者の数は急増しています。幾つかの町は完全にカルテルの支配下にあり、カルテルの取り締まりを行う警察や軍の一部はカルテルと繋がっていると言われています。とりあえず積極的に現状肯定をするのは難しいでしょう。米国はというと、70年代に始まったwar on drugsの一部としてメキシコを捉え、wikileaksで明らかになったように、資金調達や技術指導など兵士のトレーニング、軍事顧問の派遣などを行っています。メキシコでの死者が増加の一途を辿る中、オバマ政権は今以上にメキシコでの麻薬戦争に関わっていく姿勢を示しました。これがコンテクストです。

Govとしては、なぜ米国がやるのか、米国にとっての利益、麻薬カルテルを弱体化できるといった3つの要素は押さえたいところです。米国である理由は比較的簡単でしょう。まず、米国には責任があると言えます。カルテルが扱うほとんどの麻薬は米国で消費されますし、犯罪で使用される銃のほとんどが違法に米国から来ています。米国政府の規制の失敗に責任があるといえます。また、米国は強い軍隊を持っているのはもちろん、パナマやコロンビアでの経験があるため、最も適したアクターといえるでしょう。既に米国がメキシコ政府と協力していることを挙げてもいいと思います。次に米国にとっての利益ですが、米国におけるカルテルの犯罪と麻薬取引が減るというのが主でしょう。もちろん、麻薬が人を殺すこと、社会負担が相当なことは簡単にでも押さえなければなりません。他にも、麻薬カルテルは銃の違法売買や人身売買といった組織犯罪にも関与していることを出してもいいと思います。米国に利益があることを証明すれば、米国こそこの問題に責任をもって関与し続けるアクターということも証明できます。あとはカルテルが弱体化する証明です。ここはロジックもそうですが、例を出すことが重要だと思います。やはり、パナマ侵攻などを引き合いに出し、アフガニスタンやベトナムのような泥沼にはならないと言いたいです。

このディベートのOppが難しいのは、ハームを出すことよりも、何を支持するか決めるところでしょう。SQを支持するのか、オルタナを出すのか、思い切ってカンプラを打つのか。SQを支持して、とにかくハームを押すのもありだと思います。米兵を送ることだけはしないけど、メキシコ政府への支援を大幅に拡大してもいいです。これは麻薬のディベートということで、米国で麻薬を合法化するとか中毒者の治療をメインにすることで、米国市場へのカルテルのアクセスをカットすることもできます。一つのカルテルとの手を結び、その他のライバルのカルテルを抑え込むとともに、麻薬取引は正当化しても、戦闘をやめさせることもできるかもしれません。個人的には、SQを支持するのは難しいと思います。どうしても米国に責任はあると思うので。

スタンスによってポイントは変わってきます。ただ、どのスタンスでも、主権の議論は難しいかもしれません。ジンバブエに侵攻するのとは違って、米国とメキシコは協力関係にあります。NAFTAってます。ただ、市民が米兵を歓迎しないという分析はできます。実際、カルデロンの強硬な対カルテル戦争が暴力の増加に繋がったという世論が主流みたいですし、他国の兵士が市民も巻き添えにする戦闘を展開するとなると、尚更です。カルテルの勢力拡大の背景に貧困があることを踏まえると、カルテルが金で市民を買うことはあるでしょう。

スタンスをどうするにせよ、ハームは出せます。何より、カルデロン政権が軍を動員してから、カルテルによる暴力も死者も増えたように、AFTで戦闘が激化することによって、犠牲者が増えることは間違いありません。一般市民も多く巻き込まれるでしょう。パナマと違って、相手が政府軍ではなく、一般市民にまぎれたカルテルのメンバーであることを考えると尚更です。コロンビアでの麻薬戦争では多くの市民が巻き込まれましたし(数は調べてください)、パナマ侵攻だって、少なくとも2000人の市民が死んだと言われています。人が死ぬだけじゃなくて、インフラが破壊されるとか、経済がだめになるとかも言いたいです。外からの投資は確実に減りますし、メキシコ経済に重要な観光業も今以上に衰退します。ただこれらをポイントとして立てても、SQで既に起きているとか、短期的なハームだとかごねられると、重要性に欠けます。そこでOppとして言いたいのは、たとえGovの言うようにメキシコでカルテルの力を弱めても、周辺国に拠点が移るだけという分析です。メキシコでカルテルが勢力を拡大した背景にも、コロンビアから移ったということがあるので、これは比較的言い易いはずです。Govのゴールは達成されることなく、ただハームがあるというケースが完成したら、これはOppの勝ちパターンです。

どこかに介入する系のモーションはとにかく知識が必要です。僕も全然ないので、更に自分で調べてみてください。っていう逃げの終わり方で。


高柳啓太
国際基督教大学3年。ICUDS現部長。 North East Asian Open 2011 DCA, Hong Kong Debate Open 2010 Champion, NEAO 2010 Quarter Finalist & 6th Best Speaker, Australs 2011 ESL Semi Finalist。11th Gemini Cup Chief Adjudicator, 20th ICUT Deputy Chief Adjudicator, JPDU 2回準優勝、2回Best Speaker。