2013年2月15日金曜日

ディベートのしくみ


みなさんこんにちは。一橋大学2年の世永です。もうすぐ学年が一つ上がり、上級生と完全に混じって戦う修羅の世界に足を踏み入れる時期になってきました。そこで、今までなんとなくやってきた「ディベート」というものは、そもそもどういうものなのかということを考える記事を書いてみました。体系立てた理解があると他の領域の理解にも役立つので、是非読んでみて下さい。


1. そもそもディベートってどういうものなの?


①モーションを肯定する/否定するということ

最近はphilosophy/practicalityの議論の発展や、エンゲージの手法も前より多く知られることになったことによって、テクニカルにディベートを進めようとする人が増えてきましたが、一旦ここで単純にディベート、すなわちモーションを肯定/否定するということについて整理してみましょう。
モーションを肯定するということは、そのモーションがとられるべき理由を伝えるということです。その理由がphilosophicalであることも、practicalであることもありますが、議論の本質はそこにあると考えてよいでしょう。このポイントを忘れて”philosophy/practicality”という枠組みに縛られてしまうと、関係のないところがやたら強調されたりした、それっぽくはあるものの全く的外れな議論が出来上がってしまいます。なので、まずはphilosophy/practicalityという枠組みに囚われずに、なぜこのモーションを肯定するのか、または否定するのかということをシンプルに考えてみましょう。


②モーションを肯定/否定するべき理由

では、いったい「モーションを肯定/否定する理由」とはなんなのでしょうか。
まず直感的にはbenefit(便益)に目が行くでしょう。どんなモーションにおいても、それをとることによって何らかのbenefitが発生します。そしてそれは大いにモーションをとる理由になるのです。そのbenefitが規範の形成であったり、物質的利益であったりしますが、モーションによって生じる一番大きな変化という特性上、ここの証明を疎かにすると勝利がかなり遠のいてしまいます。個人的な意見ですが、直感的な議論ほど大事にしてあげましょう。直感的に理解出来る議論は突き崩しにくく、なおかつ多くの人に理解されやすいので強いものである可能性が高いからです。
そしてその便益を特定した後は、それが「とられてもよい」ということを証明する段階に移ります。その行為のvalidity(正当性)です。いくらbenefitが生み出されるからといって、みだりに何でもしていい訳ではありません。validityを示すことによって、その便益がとられるということにより一層説得性が持たせられます。皆さんが一般的に言っているphilosophyがこれに当たります。
これと並行して、「なぜこのモーションがとられなければならないのか」という要素、necessity(必要性)も考えてあげましょう。これは必ずしも毎回必要とされるものではないですが、いわゆるポリシーディベート(現状に何らかの問題が生じており、それを解決するためにとられるモーションでのディベート)においてはかなり重要な要素となりうるものです。「必要がないならやらなくていーじゃん!」その通りです。なお、Opp.のときはこの逆(harm, invalidity, no-necessity)を同様に証明してあげればよいでしょう。
これらの議論をもれなく押さえていると、「まぁいいんじゃね?」レベルのコメントをジャッジから貰えるようになってきます。笑


③「モーションに沿う」という概念

上のようなことをやっただけではもちろん勝てるようにはなりません。相手も同じことをやってきます。では、競り勝つためにはどうすればいいのでしょうか。そこで登場する概念がuniqueness(独自性)とrelevancy(関連性)というものです。前者は「なぜこのモーションでないといけないのか」ということ、後者は「なぜ議論がこのモーションと関係あるのか」ということを示します。
この概念の存在により、議論の説得性はより増します。

甲「このモーションをとればとりあえず予算作れる!!やった!!うっひゃー」
乙「いや予算とか他で埋めればいいでしょwここに使われるのが大事なの!」

uniquenessやrelevancyのない議論は「他の方法の提示」という方法で簡単に吹き飛ばされてしまいます。こんな状態でいくら予算の大事さを説いたところで勝ち様がありません。さらに、「モーションを」肯定/否定するという観点から、議論の競り合いになったときにはよりrelevantな議論の方が往々にして優先されます。勝つためには「このモーションをとったことによってのみ得られる便益」や、「このモーションこそがとられるべき理由」などをプレパの段階で考える癖を付けるようにしましょう。


補足①:「ネガオポだったよね」

Opp.としてディベートをしていたときにこの理由で負けたことがある人は多いと思います。「反論したのに」とか、「否定しただろ」などと不満を噴出させている人もいるでしょう。ではなぜネガオポだと負けるのか、そしてそもそもネガオポとは何ぞやということについて軽く触れておきたいと思います。
ネガオポ(Negative Opposition)というのは「モーションを積極的に否定出来てないOpp.」のことを指します。つまり、相手の議論の否定ばかりして、そもそもなんでモーションがとられるべきではないかという話をしてない人達のことです。ここまでで察しのいい人ならなぜネガオポだと負けるのか分かったでしょう。理由は至極単純で、「モーションの否定を行ってないから」です。「このモーションをなぜとらないべきであるのか」ということは違い、相手の議論への反論は、相手の積み立てた+を0に戻す作業でしかないので、勝ちの要素にはならないということなのです。つまり

甲「売春することは個人の自由の観点から正当化されるべきであり、また合法化したら生活の質が〜」
乙「いや別にやんなくてよくね?生活の質なんてあんまあがんねーよ!」
丙「それは『とらなくていい理由』でしょ?で、お前が言う『とっちゃいけない理由』って何よ?」
乙「ぐぬぬ」

ということです。ネガオポを避けるためにも、モーションを否定、すなわちmotionの悪い所を議論するという意識をしっかり持ってラウンドに臨むようにしましょう。


補足②:「philoとpraって分けるものなの?」

よく聞く話として「このもーしょんのふぃろって何なんですか?」というのがあります。長らくphilosophy/practicality、そしてSQ/APという概念が主流なので、そういうアプローチになるのは普通かと思いますが、最近のモーションの形式の多様化に傾向を考えると、philo/praの概念を再考してみるのもいいかもしれません。例えば、TH regrets NATO's evolution into an active military force.(ADI 2012)のphilo…無理です。まぁ無理です。そんな分け方出来ません。(世の中には出来るすごい人もいるのかもしれませんが、少なくとも僕には無理です。) なので、philo/praの峻別をせず、そのmotionに関係あるissueをベースに思考を発展させていく、というアプローチが出来るとよりmotionへの対応力が高くなるかもしれません。



 
2. 実際にどう使えばいいの?

 「そういう仕組みがあるのは分かったけど、実際にどういう風にそれをスピーチとして組み立てたらいいのか分からない」、「どうやってmotionから見いだせばいいのかわからない」というのが大きな課題だと思います。

そこで、

THBT feminist movements should seek a ban on pornography. (Japan BP 2012)

というmotionを使って実際の思考の流れを一度再現してみましょう。SideはGov.です。


①そもそもなぜこのmotionが出てきたのかを考える。

 このmotionはどのようなことを議論させる為に出てきたのか、ということを考えることは有効なアプローチの一つです。motion作成者やAdj.coreの視点に立って考えるなど、「客観的かつ広い視点」というクッションをおいて考えることにより大暴投を未然に防ぐことが出来ます。大学入試の現代文で「作問者の視点で考えよう!」っていう解き方がありましたが、それと同じ感じです。

 ここでは、「とりあえずfeminist movementsがpornoをbanするように動くことに何らかのいいこと/悪いことがあるんだなー」という理解でいいでしょう。聞こえのいい、あるいはぱっと見で当たり前でありそうなことに縛られないことが大事です。


②Clashベースで考える

 ディベートのざっっっくりとした構造を把握した後は、もっと細かい段階に移りましょう。ここで使うアプローチがClash(対立軸)という概念です。このissueに関してGov.とOpp.双方何が言えるのか、というのが基本的な思考メソッドとして使われます。この方法のメリットとしては、

1.        議論を読んだ上で戦える:相手が何を言ってくるのかを予測した上で議論が組み立てられるので、必然的に崩されにくい議論になる。
2.        議論の打率が上がる:Gov./Opp.で共有する分析しか出てこないのは基本的に重要じゃないです。(cf. 櫻井さんの資料のConsensusの部分)
3.        質のいいディベートになる:お互いがこれを行うことにより、話が噛み合いディベートは楽しくなりスピーカーズポイントも。。。

などがあります。汎用性の高いものなので、是非マスターしておくといいでしょう。
では、今回のmotionに関して見ていきましょう。このmotionにおける基本的なClashをみていくと、

(a) Benefit: このmotionをとることによる何らかの変化
(b) Validity(Uniqueness): なぜfeminist movementsなのか
(c) Necessity: そもそもなぜfeminist movementsが動かなければならないのか

という3つに納まります。このように大体のmotionのclashは前に挙げた3つの理由に納まるように出来ているので、基本的なアプローチとしてこの3つの理由から探ってみることを覚えておくといいと思います。
そして、このクラッシュの正体がおおまかに時点でスピーチの骨子は出来上がります。簡単にまとめてみると、

 「性別を基準とする、女性に不利?な構造をもつpornoに対し、男女平等を目指す運動であるfeminist movementsはbanする動きをするべき」

という風になります。


③Clashを分析する

 Clashを見つけ出して終わり、では元も子もありません。Clashはあくまでも議論を進めるための土台なので、ここからはそのclashにおいて勝ちに行くことを考えてみましょう。
 この時に使う有効なアプローチとしてはワード分析が挙げられます。これはモーションの中にある単語を分析することによってロジックなどを引っ張り出すというものです。そこから得られた抽出物がいわゆるcharacterizationとかcontextualizationとか呼ばれたりします。この方法自体は基本的なテクニックなので皆さんにとっても馴染みのあるものではないかと思うので、そこまで苦労せずに行えるでしょう。逆に言うと、この引き出しの多さがディベーターの実力であったりもします。

そして今回のmotionを見てみると、

(1) feminist movements
(2) porno
(3) seek a ban

という3つの単語?が分析出来そうな匂いを醸し出しています。
それぞれについて見ていきましょう。

(1) feminist movements
  これは男女の平等を目指す団体として捉えてもよさそうです。社会にはびこるpatriarchyを取り除く為に日夜様々な活動を行っています。トップレスでデモをやったりしているあの人達です。
  そしてここからまた新たなclashが一つ生まれました。それは、feminist movementsのprincipleである「男女の平等」という概念です。何を以て平等とするのか、変えられない差異をどう扱うのか。ここでも議論が衝突しそうです。このように、基本的なclashを足がかりとしてどんどん話を発展させていくと、分析の多い/深いディベートへと発展していきます。

(2) porno
  porno自体の説明は必要ないでしょう。問題は、このpornoがfeminist movementsとどう関わっているかという視点です。ただpornoの話をするのではrelevantではありません。なので、motion内に存在する単語を有機的に組み合わせていくという意識でワード分析に取り組むといいでしょう。
  その観点で見ていくと、feminist movementsが求めているものは男女平等であるから、それと逆の状態であるという分析を出せばよいという結論にたどり着きます。そうすることで、「なぜfeminist movementsなのか」という問いが解消されます。
  でもただ「不平等!差別的!」と言うだけでは勝てません。上手いOpp.はどこからでも攻め込んできます。そこで、いかに不平等であるかという話もきっちり分析しましょう。その産業に従事している人の数、仕事の内容、産業構造、働いている人のバックグラウンドなど、分析の切り口は少なくないはずです。Opp.の話の内容を予測して、「この方法(ban)でないといけない」というuniquenessをしっかり埋めていきましょう。Motionをただ分析するだけでは勝ちには繋がりません。

(3) seek a ban
  ただbanするわけではなく、「banするように働きかける」ということに注目しましょう。英語があまり上手くない人に多く見られますが、自分の中で勝手にアクターの動き(モデル)を単純化してしまうのはやめましょう。Feminist movementsがbanすることは出来ません。彼らは政府じゃないです。そこら辺のニュアンスもしっかり押さえるようにしましょう。
  世間に対して動くこと自体がメッセージとなる、みたいな話でもいいですし、banするための圧力となって女性をpornoから開放出来る、でもいいです。ここで大事なのは、生じたbenefitをactorの行動原理に結びつける、ということです。ただやたらにbenefitを乱発するだけだと勝てません。(cf. 「モーションを」肯定する) なので、なぜそのbenefitは今回のmotionにおいて重要であったかということをしっかり示してあげましょう。今回で言うと、メッセージやら開放やらが男女平等に繋がるものである、というところまでbenefitとしてあげるといいでしょう。


④スピーチを作る

 基本的な話は出てきました。あとはこれをうまくパッケージして喋るだけです。ここからは基本的に個人の裁量と練習の領域なのですが、慣れないうちは先ほどあげた基本的な3要素に当てはめて話すとうまくまとまりやすいです。一例を下に挙げておきます。

1.        Why feminist movements should act.
・Seeking equality between men/women
・Equality = equal treatment from the (member of the) society regardless of sex
2.        How disadvantageous against women the porno industry is.
・Women are “fed” by men.
・Basically forced to work b/c of financial problem etc.
・The industry comprises women.
・Creating a bad norm against women.
・No benefit for women
3.        How women will benefit from this plan.
・Strong push to ban porno
・Sending a message towards the society
・Great step to achieve equality

別に突飛である必要はないので、当たり前の話を当たり前にするようにしましょう。カッコいい話を考えるのは勝ってからでも遅くはありません。でもやっぱり海外に憧れる。Victorとかいいよね。



 基本的にはこんな感じでやっていくとmotionに対してのアイデアが完成します。ただし、気をつけてほしいのは、このやり方に囚われないということです。このやり方をたたき台にして、組み替えて、どんどん自分のやりやすいように理論を体系化させていってください。そうすることで、ディベートへの理解がより深まります。多分。はい。きっとそうです。

2013年2月4日月曜日

Whipをはじめてする人へ その2


 
こんばんは。先週の続きになります。

 
先週までの流れ
 0.はじめに なぜRefuteが大切なのか??
 Ⅰ.Refuteにおいて何が大切なのか??
 Ⅱ.どこに反論するのか WHERE TO REFUTE ??
  A.反論する上で理解しておくこと

  先週は、Refuteすることがなぜ大切なのか、そしてRefuteする時についついどうRefuteしようか、と考えがちですが、Refuteする場所を決める作業が大切だということを確認しました。そしてRefuteする上で理解しておく概念までを紹介したかと思います。

 今週はそのRefuteする場所を決める上でどういう方法があるかの方法論を一例ですが紹介します。(先週も併記しましたが、ここにある内容は一意見にすぎませんので訂正、ご意見ご批判ある方はFBでポストOrメッセージをくだされば幸いです。尚先週の誤字脱字をお詫びします。)

 では早速今回の分に移ります。

 B.どこにRefuteするのか、方法論

1) Bottle Neckに注目してRefuteする場所を探す

2) Underlying PREMISEに注目してRefuteする場所を探す

3)補足する点

 
1) Bottle Neckに注目してRefuteする場所を探す
  Bottle Neckとは相手のサイドが言わなければならないことは何か、ということです。相手の言うことは本当に起こるのか、と疑問を持った時に必要な証明ともいえるかと思います。

 Ex) THW allow public servants to strike.
   Opp.が公務員がストライキしたら火事が起きても誰も火を消さないから大変なことになる、というAnalysisをしたとします。
 この時のBottle Neck としては、確かに公務員がストライキをしたら大変なことになるけれど本当に公務員がストライキをするのか、という部分になるかと思います。もっと的確にいうと、公務員がRight to Strike をAbuseするかどうか、もし公務員がそんなに頻繁にストを行わず、単に交渉のカードとして使う程度にしかこのmotionを利用しないのであれば、Opp.が言うほどのHarmは起きないということになります。つまり公務員がこの権利をどう使用するのか、ここの部分の分析がGov.のBenefitが立つのかOpp.のHarmが立つのかその分岐点になる、という意味でここがBottle Neck だと言えるかと思います。つまりここにしっかり反論した上で自分たちのケースを立てれれば勝てる可能性が上がるということです。

  Ex) THW: Force doctor to tell the truth to the patients.
  Gov.が、医者が正直になればこそ患者がLast timeをUtilizeできる、というAnalysisをしたとします。
 この時のBottle Neckとしては、患者はその真実によって本当に良い時を送れるのか、ということです。もっと言うとどうやって真実のショックから立ち直れるの??ということです。当然Opp.はショックからいい時が過ごせなくなる、というわけだから、もし患者がショックから立ち直ることができればGov.のBenefitがたつし、立ち直れなければOpp.の言うHarmが立つことになる、ということです。つまりここへの反論を厚くすることが自分たちの勝ちに繋げる近道になるかと思います。

    Bottle Neckの定義は様々あるかとは思いますが、一応

       <Bottle Neck = 分岐点> 

  Bottle Neck を見ることによって、比較的ラウンドの分岐点が見えるようになるかと思います。
 Bottle Neckを見つける方法はさまざまあると思いますが個人的には大きく分けて2種類あると思います。
  1つ目は「~たら、~れば」に注目する方法です。こういう事が起ったら問題だ、これがあれば大丈夫、という類の分析は多いと思いますが、そういうことが本当に起こりえるのかを一度ラウンドから離れて一歩引いて自問してみるといいと思います。上の例では最初の例がこの方法にあたります。
 2種類目はクラッシュから考える方法です。相手が言うであろうことを予想して、どことどこがぶつかるのか、そのぶつかるであろう部分にRFしていくことです。これは上の例でいうと2番目の例にあたります。

          Bottle Neckの探し方 
 1.~たら、~れば… 
  2.相手がOpposeする場所

 

 2) Underlying PREMISEに注目してRefuteする場所を探す

  文字通り暗黙の前提を指します。Debateの中には直接は出てきてはいないけれども相手が持っている前提、Analysisの後ろに隠れている考え方は何か、ということです。これは先輩曰く日本ではあまり流通していない考え方のようです。

  Ex) THW: employers should not have access to job applicants' criminal records.
   Gov.がEx-Criminalが仕事を得られなくて困っているというAnalysisをするとします。
 ここにあるいくつかのUnder PREMISE は、
 Gov.はEx-CriminalをIntegrateする必要があると考えている、ということです。さらに言えばCJS、特にPunishment においてはDeterrenceなどの機能があるにも関わらずRehabilitateの機能をAbsoluteとしている、などが挙げられます。
 また、仕事が得られない限り社会にIntegrate出来ない、というのも前提の一つとなります。

   Ex) THW: ban all procedures designed to alter racial appearance.
  Gov.がSurgeryの存在自体がSQで差別を助長していてAPではSurgeryができなくなるから差別が解決される、というAnalysisをしたとします。
 ここにあるUnder PREMISEは、Surgeryの存在の有無が人々の意識に影響を与えるまでに大きな意味を持っている、ということ。APでSurgeryがなくなればAutomaticallyに差別が解決されるとしていることが挙げられるかと思います。

 Underlying PREMISE を見ることは以下の意味で重要性を持ちます。
 1にその前提に賛成するのか反対するのか、言い換えれば自分たちがとっているスタンスそこから生じているであろう自分たちの前提からして、賛成できるものなのか反対するべきものなのかを判断しやすくなります。そして2に賛成できないものであると判断したら前提に丁寧に反論すればいいということが分かります。最初の例でいけば、まずCJSにおいてはRehabilitationだけでなく他のDeterrenceなどの機能もある以上Reha.だけに焦点をあてるのはおかしいことを指摘した上で、なぜ他の機能がこのケースにおいてReha.より重要な意味をもつのか、そして仮にReha.が重要だったとしてもよくない、という話をするのが相手の前提を崩した上で自分の前提を強めて話を進められるので有効だと思います。2番目の例で言えばAPがAutomaticallyにうまくいくということが前提になっている以上、そこをまず指摘し、なぜ上手くいかないのかを説明すればGov.のケースは立ちにくくなります。前提にRefuteが来ている以上、そこの部分をRCできない限り、いくら前提の上に乗っかっている話をしたところで期待したほど評価はされません。よって前提へのRFは効果的です。

     前提をかんがえることは

  スタンスを決める上でも有用 

前提へのRefuteは深く刺さるととれにくい

 
3)補足する点

 2点ほど補足があります。
 1点目、繰り返すようですが、この方法論はあくまでも一例であり、人によってはこのやり方は間違えていると感じる方もいらっしゃると思います。それは当然だし、私個人としても反対意見の存在に賛成です。というのも、私のようなWhipが言うのもなんですが、しっくりきたWhipができた時のスピーチは、自分なりに考えた方法とか概念とか、そういうものに合致するようなラウンドの見方が出来た時のスピーチだったように思います。大切なことは、Whip分からない、と焦ったりすることじゃなくて、分からない中で自分なりの方法とかを考えてみたりすることなのかな、と思います。だからこそ多くの方が自分なりの方法論をもって私がここに挙げました方法論や概念を否定ないし批判、付け足すということはむしろ歓迎すべきことなのだと思います。(ぜひWhipに今年初めて挑戦する人もリフレクなどを利用して自分なりに自分がラウンド中使えるような形で概念や方法を加工ないし立ち上げることをお勧めします。)

  2点目、以上のように反論する場所について見てきたわけですが、忘れてはいけないことは、ラウンド中に反論しなければいけないと、Debaterが思っているのにすぎないことです。簡単に言うと、あなたが重要だと思っていることをJudgeの人も重要だと思ってくれていますか?? ということです。ラウンドの中でこれはどう見てもここの部分がクラッシュになっている、とほぼ断言できるラウンドもあれば、あまり前のスピーカーで議論されていなかったけれど、ここに反論すればふと相手のインパクトはmechanismの部分で崩れるかも、とかラウンドによって多種多様な状況が存在しますよね。どうしてここに反論するんだろう、とJudgeの方が考えて、それで理解できればいいのですが、Judgeの方にうまく伝わらず、Voteが出てしまったらいくら良い場所にRefuteしてても説得できなかったということに変わりはないと思います。だからこそ、Refuteする前に考えてほしい(もしくはラウンド終わって反省する時に考えてほしい)のは、自分の反論が独りよがりになっていないか、もしそうなら、なぜその場所にRefuteすることが大切なのかを伝える必要があるのではないか、ということです。その方法は様々かと思いますが、ストレートに説明するのもしかり、クラッシュを具体的に説明するのもしかり、上手な人だと印象操作をするのもしかりだと思います。DebateがJudgeを説得する競技である以上、Judgeの目線を踏まえることが必要だという事を補足します。

 

今週は以上です。

読んでいただきありがとうございました。

2013年1月27日日曜日

Whipをはじめてする人へ その1


1年生向けRefuteの資料

 ついにAsianの季節ですね。これからWhipのロールにチャレンジする人の力になれればいいな~と思い、作った資料です。数回に分けて更新するつもりです。今回拙い記事に関わらずこのように発信する機会をいただいた加藤さんをはじめ、運営memberに感謝します。ブログの関係上図が挿入できませんでした。文字ばっかりになって読みにくくなってしまったのはご愛嬌ということで(*^^*)
 

0.はじめに なぜRefuteが大切なのか??

 最近1年生からRefuteが分からない、という声をよく聞きます。恐らくJudgeの人から「RefuteがRefuteになってない」と言われたり、「ここへのダイレクトなRefuteはあった」などRFDにしょっちゅうRefuteへの評価が登場することが原因だと思います。なぜRFDにRefuteの評価がそんなに登場するのか。Judge目線で考えると、Judgeはfairでなければならない以上、Refuteされていないmatterはコンストのレベル通りに取らなくてはならず、またRefuteされたままのmatterはそのRefuteの強さにもよりますが原則とりにくくなってしまいます。もしRefuteされたままのmatterを強くとりすぎてしまうとRefuteした側にJudgeの介入と受け取られかねません。だからJudgeはRefuteに注意を払ってラウンドを見るのだと思います。そのように考えてみるとRefuteがRefuteになっていない、といった類の言葉がRFDに登場するのも道理なのかな、という風に思います。だからこそRefuteをすることは大切なのだと思います。

 この資料は、そんな風にRefuteがRefuteになっていない、Refuteをする場所が違う、と言われ続け、先輩方からいただいたアドバイスやラウンドの反省などを書き留めていたノートから、Refuteをするという作業において汎用性のありそうなものを抽出して資料の形にしたものです。Refuteについての資料なのでこの資料への反論も大歓迎です。また作っている私自身も自分が発展途上にいる以上この資料も発展途上にあると思います。ですから読んでくれている人がこの資料を基に自分の中でこの資料を膨らませてくれたり、さらにその膨らませた資料を様々な形で発信してくれたりしたらすごく嬉しいです。

 

Ⅰ.Refuteにおいて何が大切なのか??

Refuteをするときは、どこに反論するのか、そしてどのように反論するのか、つまりWhereとHow、この2点が大切です。なぜなら反論する場所が間違えていれば内容が良くてもRefuteとしての価値を持ちえず、また反論する場所が適切でも内容が伴わなければそれはRefuteとしての効果を持ちえないからです。勿論見せ方やワーディング、場合によってはレトリックなども効果的です。ラウンドによっても変わりますが、個人的にはWhere、How、見せ方、この3点のRefuteにおける重要度は2:2:1くらいなのかな、と思っています。
 よって以下では、上の要素3つについて順に見ていくことにしたいと思います。

 

Ⅱ.どこに反論するのか WHERE TO REFUTE ??

  以下、Aどこに反論するのかを理解するために必要だと思われる前提の概念を簡単に紹介します。その上でB一例になりますがRefuteの方法について紹介したいと思います。

 A.反論する上で理解しておくこと

 1) Listen like a JUDGE!! 正確に人の話を聞くことは案外難しい。

  反論する場所を見極めるためには、当然よく相手の話を聞かなければなりません。相手の話を聞く目的は3段階あります。

First Stepとしては相手の話のアウトラインを理解すること。これが出来ていないと相手が言ってもいない分析にRefuteをすることになります。

Second Stepとしては相手がどこまで言っているのかを聞き分けること。これをすることによって相手のアーギュメンとの強さ弱さを判断して指摘することも出来ますし、相手が何をコアに言いたいのかを判断することもできます。

Third Stepとしては、First Stepで把握した内容を言う時に本来相手が言わなければならないであろうこととSecond Stepで把握した実際に相手が言ったことの間にある乖離を確認します。こうすることで、相手のどこが弱いのか、相手にとってどこが証明しにくいのか、その証明しにくい部分はこちらから指摘するのに十分価値がある部分なのか、そこを攻めて自分たちの勝ちにつながる程なのかなどを把握する材料とすることが出来ます。

つまりスピーチを聞くことがかなり大事になります。以上のようなことをするためにどういう事を考えながらもしくはラウンド前に考えておいて相手のスピーチを聞くことが必要なのかを以下で考えます。よく考えてみると日常生活でも相手の話を聞かないと深みある会話や返答ができないことと一緒なんですね><勿論直前にあれもこれも反論やら原稿やらを準備したりで大混乱みたいなこともあるかと思います。そんな時はせっかくチーム3人もいるんだから、役割分担をして聞くことをsupportしてもらえるようちゃんと頼むべきだし、パートナーも快く引き受けてあげるのが良いと思います。全員がひまな時間なくDebateできた時の方がなんとなく楽しい気がします!

       

2 )Feasibility  全部のmatterに反論するなんて無理だと思う。 
Debateは全部のIssueで勝たなきゃ勝てないかというとそうではないですよね。拮抗しているIssueと勝っているIssueがあって大きく負けているIssueがなければ十分勝てることは経験上みんながある程度共有していることだと思います。そうならばRefuteも同じで、相手が出してきた全てのIssueに全て深くAttackしなければ勝てないかというとそうではないはずです。そもそも前の人が7分話した内容の全てを否定するなんて難しいと思いませんか??

全部に反論するのは不可能
ってことは全部に反論しなくても勝てる…はず。

  それなら、どうやって反論に濃淡をつけるのか??
  一番単純な答えは、反論する場所と反論しない場所を見分けることです。

 まずはどこに反論をするのかについて、ずばりStrategicになろう!!
  Motionにもよりますが、Motionにはほぼ必ず両サイドにある程度の負荷とやりやすい点とが多分用意されているはずです。

Strategyの定義はいろいろあると思いますが、ここでは自分のサイドに不利なところ(つまり相手に有利に働くポイント)を何とか水かけに持って行って自分に有利なポイント(つまり相手に不利にはたらくであろうポイント)では必ず相手を上回る、というのが基本のstrategyだとします。それを踏まえた上でRefuteのバランスに気を配れれば勝ちにつながるために必要なRefuteをできると思います。

 Ex) THW embrace reproductive industry in 3rd worlds.

  両サイドとも様々言えることはあると思います。Gov.から出るだろうお金がもらえるのだからPractically good.というポイントは比較的残りやすいように思います。(Opp.からこのindustryの危険性を指摘することはできても一定の人数はお金をもらえるであろうこと、そしてこのディベートにおいてはGov.はそれほどメカニズムを詰めずに済むことなどからです。) 一方でTHが3rd world であるだけあってFree choice,つまりRationalityの話で確実に勝ちに行くのは難しいと考えられます。(もちろんRationalityの丁寧な説明は必要ですが、結構Rational Irrationalはどっちもありそうな感じでDebateが終わることが多いように思います。)

 以上から、Gov.としては最低限Rational Irrationalを水かけに持って行って、相手のHarmを切った上で自分たちのBenefitを守り抜くのがいい、というStrategyを立てたとします。つまりEven if irrationalであってもPractically goodとし、HarmとBenefitのCompareで逃げ切るという感じです。

 この時のRefuteをどうするのか。大前提として(特にsecond、third speakerの場合)前に話した人のコンストの立ち土合であったり相手のRefuteのやり方であったりに依存する部分は結構大きいのは事実です。つまり大切なことは自分のStrategyに沿ってラウンドを考察することだと思います。Rationalityに関してのlogicが自分の前のスピーカーの時点でかなり出ているのなら軽くRCし、相手のIrrationalityへのRFは軽くにして時間を短縮し、その時間を使ってHarmを切り最後に丁寧にCompareした方がいい。逆に前のスピーカーの時点ではっきりとRationalityが負けていると判断したら、そこはがっつりRCとRFをしないとそこを水かけにもっていけずに相手の比較的強いポイントに負けてしまう。勿論Practicalも押しますがそこの比重が少し変わってくると思います。(前のスピーカーの時点でRationalityが大敗北している場合、そこはほとんど守らずにPracticalを思い切って伸ばしにいくのも賢いかもしれません。)

 このように、Strategy、つまりどこでどう勝ちたいのかにそってRefuteの厚さ、比重を考えることが重要になってきます。これをするにはやらなければいけないことが2つあって、1つめはプレパ中にクラッシュをマクロに予想すること。これが出来ないとどこで勝ちに行くのかのどこの部分が把握できないことになります。2つめはラウンドを強弱をつけてよく見ること。確かにラウンド全てを最高の集中力を保って聞ければそれにこしたことはないのですが、ラウンド中は自分の方を考えたりRFを考えたりですごく忙しい。だからこそ予測したクラッシュをもとに必要な部分を相手がどこまで言っているのかを聞く。上の例だったら相手のIrrationalityはどこまで説明されていて相手のRationalityへのRefuteはどの程度なされているのか。そこはしっかり注意を払ってきく必要がある、ということです。

 

 繰り返すようですが、Strategyを考える利点はRefuteをする場所の比重をラウンドにそって自分のサイドの勝ちにつながる形で考えられるという点にあります。ですからコンストをする前のスピーカーともある程度どこで勝ちに行くのかの意識は共有した方がいいのもあります。こうしてみるとプレパの時間の大切さが身に染みて分かります。

 

次にどこに反論しないのかについて・・・ずばりConsensusをさがそう!!
 自分たちもAgreeする所にRefuteしても、それは時間の無駄だし自分たちを削ってしまうことにもつながりかねません。逆にここまでがConsensusである、と示すことでRefuteの無駄を省き必要なところへのRefuteに集中することができると思います。そしてこれを明示することはJudgeにとっても親切だと思います。

 Ex) THW pay teachers progressive salary according to the academic performance of their students.

   Gov.がSQでTeacherはsalaryが一律だからAdditional effortsをするincentiveがなく、APではMoneyによって行動が変化する、というところまでのAnalysisをしていたとします。

  Opp.としては、(SQのProblemへのstanceの検討はここでは省くものとして)まず自分たちはお金の変化によってTeacherの態度が変わるということにはOpposeしないと思います。なぜならOpp.として出るだろう分析はAPでTeacherがお金のためだけに一定の生徒を贔屓したりすることやそれに付随するHarmだからです。

  したがって、Gov.が言っているMoneyが大きな力を持つからTeacherが変わるよ、という部分はConsensusですが、問題はその「変わる」が「どういう風に」変わるのか、という部分だ、という風にした上でRefuteをすればいいということだと思います。そうすれば無駄なRefuteもしないし、Judgeから見ればDebate全体が見えているのかな、という印象をもつ事が出来るようにも思います。

 Ex) THW make the developmental aid conditional to the countries who oppress women.
  Gov.はこのmotionによってWomenのRightを向上させたいところですが、Opp.からすれば、女性の権利向上はConsensusとして、このmotionの方法が良くないというスタンスで戦うことになるかと思います。(まさか女性の権利向上が不必要というスタンスはありえないと思うので。)よってConsensus以外の部分、つまりGov.が言う部分では、どうしてこの方法がUniqueにいいのか、という部分に注目してRefuteすればいい、ということです。
  どこまでをConsensusとするかは当然チームのstanceにも関わります。特にOpp.の時にはチーム内の全員が、motionのどのWardingにはAgreeしてどのWardingにOpposeするのか、という線引きをPrep.はっきりとさせることがはやくround内におけるConsensusをつかむために有益である、といえると思います。


  次回はB、どこに反論するかにおける簡単な方法論を紹介します。長いのに最後までよんでいただきありがとうございました。