2014年1月12日日曜日

紅葉杯2013 モーション解説



 あけましておめでとうございます!そして、お久しぶりです…!(意味深)


本日は、紅葉杯のACの方々にモーションの一部(R3, Pre-OF, QF, SF, GF)について解説していただきました。大会から結構の時間が経ってしまいましたが、参考にしていただければと思います。


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R3: THW decriminalize murder for the sake of cannibalism under emergency circumstances (such as drift, blizzard, heavy natural disaster)

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1. Context/Background
 具体的なContextとしては、「ミニョネット号事件」が挙げられます。また、それと関連して「カルネアデスの板」問題も念頭にありました。どっちも概要はWikipediaに載っているので興味がある方は調べてみてください。(ちなみに少し調べたらマイケル・サンデルの著書の中でも触れられているらしいですね。)個人的には、Pre-Momijiでも出た”decriminalize”というキーワードに」注目しつつ、法学面(緊急避難にあたるのかどうか)、哲学・倫理面(功利主義や法の下の平等、人間の尊厳等)から話してほしいと思っていました。多少ラディカルな議論のようにも聞こえますが、かなり昔からずっと現実社会や法学者・哲学者の間で議論されていた根本的な問題です。少し難しかったかもしれませんが、このような根本的な問題を考えることこそが「そもそも論」を考えることにつながるため僕は有益だと思っています。

2. Suggestions for Government Bench
 やばい、殺人を肯定?!と考えていたとしたら、少し落ち着きましょう。まず、モーションが”emergency circumstance”の”decriminalize”である以上、バーデンの見せ方の工夫はできそうだと思ったら、かなりセンスがあると思います。
 法学面のアプローチである”decriminalize”で基礎となる考えは緊急避難の観点でしょう。詳しい説明は僕なんかのなんちゃって法学部生(笑)よりもしっかりとロースクールや予備試験に向けて勉強している人に譲りますが、刑法や国際法などから言われているのはおおざっぱに言うと「他によりよい手段がないとき、やむを得ずに生じさせてしまった損害よりも避けようとした損害の方が大きい場合」正当化されると言われています。したがってまずは、ディベート的に言う”last resort”をある程度picturizeすることが重要でしょう。Govとしてもrandom killingは肯定しないのは当然なのでContextはしっかりと抑えましょう。いくらモーションに書いてあるとはいえ、「20日間待ったものの食料も底をついた」「連絡手段はない、助けがくる見込みもない」のような具体的なイラストが必要でしょう。次に、避けようとした侵害>生じさせてしまった侵害を、やや功利主義的ではあるものの説明をしましょう。シンプルに多くの人が助かる可能性があがるという説明をできれば良いでしょう。ここで、緊急避難のアナロジーや、場合によっては少し遠いですが正当防衛に言及すると説得力が増すと思います。”murder”のところは普通の正常な状態の人を殺すよりも侵害の度合いはだいぶ違うというラインで逃げるのが良いかと思います。
 このようなラインをベースに、殺そうとしたときに処罰に値するintention/negligenceもなくむしろこの人たちも被害者のような状況であるという説明を加えたり、cannibalismはある程度延命につながる手段であることなどを言及して分析を深めていきましょう。具体的なContextにおいて理論的に説明しやすいのは功利主義に立つGovernmentのはずです。

3. Suggestions for Opposition Bench
 「悪そうじゃん」とは思えるものの、それを論理的に説明することが少し難しいのがOppositionかもしれません。1年生の段階で求めすぎなのかもしれませんが、モーションをしっかり読むと”decriminalize”の反対である”criminalize”をある程度サポートしたいはずで、”murder”と”cannibalism”どちらも否定できることに気づいてほしいです。
 criminalizeするべき理由は何でしょうか。まず、同意があっても身体を傷つけたり殺したりすることはまず違法だよな、というような一般常識を思い出せると楽でしょう。(ちなみに、「指づめ」も違法だなあとかと思い出せるといいですね)少なくとも3つのラインはありえます。(1)”murder”という行為はそもそも非人道的である。殺すという行為自体はしばらく一緒に日夜を共にした人の裏切りであり痛みを伴います。capital punishment等とも異なり痛みは尋常ではないでしょう。(2)cannibalismはそもそも人間の尊厳を奪う行為であり、そうしたものもそもそも法は守っている。さすがにtortureと一緒というのはここでは少し遠い気もしますが、sancity of bodyの話はできるでしょう。(3)法の下の平等を侵害しやすい(だいたい殺されるのは弱いものからだし、そもそも「生きるべき命」と「死ぬべき命」で序列をつくっている)これらがそのままArgumentになっても良いと思います。Governmentは単純な話しかできないので、多角的な視点でHarmを出しつつGovernmentが軽く見せてくる証明責任を重く見せていく努力が必要です。視点はたくさんでるのがOppositionの優越性のひとつであることは間違いないでしょう。
 なお、紅葉杯においては1年生が非常にOppositionが苦労していました。こういう視点がでてくるけれども、説明に困ったというパターンが多いと思います。確かに、「人間の尊厳」というのは説明するのが非常に難しいでしょう。ひとつのコツとしては、Analogyを言いながら実際にこういうときは守られているよね、こういう非人道的なことはしていないよねという魅せ方はありだと思います。また、具体的な状況のpicturizeも確実に必要でしょう。もちろん、それだけでは満足せず、しっかりとロジックも言えるようにしましょう。



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Pre-OF: THBT it is legitimate for states to show the full horror of terrorism.
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1. Context/Background
 今僕はマスメディアの報道についても勉強しているのですが、日本のメディアと海外メディアのひとつの大きな違いとして「どれだけショッキングな映像を流しているか」というのもあります。放送局が自粛する場合がほとんどなのですが、海外では比較的放映されやすい傾向があるらしいです。
 その問題意識をベースに、そういえばディベート界で今や最もポピュラーな音源の一つであるWUDC 2010 Grand Finalの”THBT the media should show the full horror of war.”ってあったなーと思っていてこのモーションが生まれました。ちなみにこの音源は僕の大のお気に入りでMG, MO, OWの再生回数は余裕で3桁になってたりします。
 モーションメーカーの意図としては、海外の音源なり国内の音源なり、研究対象にすることはまず奨励したいなと思っています。スピーチの見せ方だとかはかなり参考になる部分が多いからです。しかし同時に、メッセージとしてこめていたのは「見る・聞くだけじゃなくてしっかり考えろ」という部分です。”legitimate”かどうか”state”としてするべきなのかどうかは、WUDC 2010 Grand Finalとは明らかに違います。「あ、これ、音源で聞いたやつだ!」という進研ゼミ的なのりでモーションをみていると痛い目にあいます。たくさん先輩や同輩などから音源をすすめられるでしょうし、それはぜんぜん良いのですがそれで思考停止にならないでください。また、それはあくまで「参考」にするところであって、ベースは音源以外からのインプットなどが必要であることは留意しましょう。

2. Suggestions for Government Bench
 Governmentとして一番思いつきやすいのは「テロ防止への動きが進む」という話だと思います。この話を立てたいのであればいくつか抑えないといけない証明責任があるはずです。それは大まかに見ても、(1)テロがstateにとってかなり対策しないといけないもの(ex. war on terror等各国は対策をとりつつある。テロは非人道的で起きてしまう前に防がないと多くの命が奪われてしまう、等) (2)見せないといけないcontextがありうる(ex.平和ボケの時、対応が足りないとき。毎回みせる必要は当然ありません。) (3)みた後にどうテロ防止につながるのか、という3つが考えられます。シンプルな話な時はしっかりとどう深堀りするか考えられるといいですね。特に(3)は結構重要なので、しっかりsympathyが生まれるロジック・イラストはしましょう。また、テロのagendaがpublic discourseにおいて結構あがりやすくなるという話はかなり強いと思います。
 これらと付随して、fullにしないとself-censorshipが働きやすい構造などにも言及すると良いでしょう。

3. Suggestions for Opposition Bench
 Oppositionとして視点はたくさん思いつくかと思います。(1)mental harm of viewers, (2)dignity of the dead/familyあたりは最初に思いつくでしょう。ただ、これらの議論は若干単体ではGovernmentのイラストに対抗するのは非常に難しく、インパクトで比較されたときにはなかなかこれらだけで対抗しようというのは難しくなります。
 ここで肝となってくるのが、テロに対するimpactになります。ここで気をつけてほしいのは、oppositionとしてどのようなスタンスをとるかです。現状の報道(言葉とか、最低限の映像で)でいいじゃーんという安直なalternativeの提示だと、governmentにflipされかねません。それでsympathyするっていうなら、そのsympathyの度合いをあげているだけだよと。しかもそれでも、mental harmやdignityあるんじゃないの、どうするの?と強いMGがいた時「ぐぬぬ」となってしまいます。Stanceとは、Alternative/CounterplanとArgumentの間で整合性があってStanceになりますのでOppositionとしてどうしたいのかは気をつけましょう。

 テロをむしろ調子にのらせる・激化されるという話や、アメリカのように盗聴とかもオーケーになってしまうような可能性も秘めているなど、Oppositionが言える議論自体はあります。ただ、Governmentにflipされないか、スタンスとの整合性はあるかはきちんと見極めましょう。



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QF: THBT TV drama from large broadcasting company should include at least one person with disability as an actor or actress.
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Context/Backgroundのようなもの(まず何を考えるか)
モーションのキーワードであるTV dramaとperson with disabilityに関してSQを整理してみましょう。現在、テレビドラマにDisability(以下障害)を持つ俳優はほとんど出演していないと思います。またテレビドラマに限らず、そもそもそういった俳優は、少なくとも視聴者の認識的には、ほとんどいないと言ってよいでしょう。例外的にトム・クルーズなど非常に有名な俳優が該当する例もありますが(トム・クルーズはLD=学習障害)、彼らも自身と同じ障害を持つ役を演じるわけではなく、見た目ではわからない障害なので視聴者も彼らの障害を意識しないか、そもそも知りません。テレビドラマ等の映像作品で障碍者を扱う際、その障害の種類・程度を問わず、演じるのはいわゆる健常者の俳優です。
このような現状を踏まえ、なぜ障害を持つ俳優がほとんどいないのか、そうした状況はJustifiableなのか、障碍者が出演したら何が変わるか、また現在障碍者役を健常者が演じていることはどんな意味を持っているか、などの疑問や問題意識が生ずれば、かなりモーションの意図するところへ近づくのではないかと思います。また、なぜあえてテレビドラマで(しかも大きな制作会社のドラマ、つまり視聴者・社会の注目度が高いドラマで)障碍者を起用せねばならないか、その意図はなんなのかという疑問からモーションのユニークネスを考えていくことも非常に重要です。

Government : Case setting(Context/Definition/Stance)
今回のモーションはValueモーションとしてやっていくことも、細かいコンディションをつけつつポリシーとして進めていくことも可能でしょう。ただケース設定において、障碍者を「少なくとも1人」「俳優として」起用するという指定は、さりげないようで、実はかなり重要です。障碍者をできるだけ多く起用するというわけではなく、また障害をドラマのテーマにするというわけでもなく、なぜ最低一人、障碍者を俳優として出演させるのか。議論の方向性を決めるケース設定は、こうした疑問に耐えうるものであることが理想です。そしてこのケース設定は、スタンスや目指すゴールひいてはディベート全体に影響してくるものでもあります。
例えば僕がオブザーバーとして見たラウンドでは、主要な役ではないが(ストーリーにほとんど関与しない役でも可)他の人々(健常者)の中に溶け込んで一緒に働いている障碍者の役を設定し(具体的には半沢直樹が働く銀行の一従業員等)、彼らの障害ゆえの困難だけではなく、実際に社会で役立てる、役立っているという姿を自然な形で描写する、というようなコンディションがつけられていました。これはモーションの根源的な疑問に答えうるケース設定であり、またそれゆえにスタンスやゴールに直結しやすい、なかなか良いセッティングだったと思います。もちろん他にもいろいろなケースがあると思います。いくつもの選択肢がある中で、モーションの意図を汲んだスタンスやゴールを探り当て、そしてそれらに沿った(あるいはそれらを実質的に内包した)ケースセッティングを戦略的に立てることが重要です。

Government : Argumentation
様々な組み立て方があり得ますが、Philosophyからしっかり立てていくとすると、アファーマティブアクションの枠組みで攻めていくのが正攻法でしょう。民族や女性に対するもの、そして障碍者に対するその他の雇用上の優遇制度をアナロジーとして正当性を主張し、また構造的に障碍者がドラマから排除されていることによって障碍者全体に不利益があること(SQのProblem)、APでそれらが改善していくといったPracticalに結びつけ、社会的なインパクトを出していくのが定石といえます。障碍者も俳優として活躍するチャンスを得られる、そして障碍者を認知する機会が格段に増加することによって人々の理解が進む、そういった変化によって社会の差別意識が緩和されIntegrationが促進される、というのがAPで議論できる一連の内容でしょう。
テレビドラマのユニークネスに関する分析は、このような肯定的な影響を最大限拡大させ、インパクトを出す
ためにも有用と言えます。ただあまり最初からインパクトつまり社会全体の大きな問題とその解決に固執すると、メカニズムを説明するバーデンが重くなるので注意しましょう。

Opposition : Stance/Strategy
真っ向からGovernmentに対抗するならば、そもそも障碍者を出演させる必要はなく、またこのモーションは一般視聴者のニーズに合ったドラマを作るという制作会社の目的に反し、彼らの表現の自由を侵害している、という会社(視聴者)擁護のスタンスを思いつくかもしれません。それでもいいのですが、制作会社(及び視聴者)目線のスタンスは、障碍者を守りたいアクターとするGovernmentに対して、モラル的に不利になりやすいです。障碍者のためにという大きなゴールは共有し、このモーションが障碍者にとってむしろ害である、という立場で進めるのがおすすめです。SQですでにテレビドラマ(及びテレビ全般)は障碍者の権利保護や立場向上に十分貢献しており、even if 十分でないとしてもモーションはCounterproductiveになってしまう、という展開が組み立てやすいと言えるでしょう。もちろんこれが唯一の方法というわけではありません。大事なのは勝つまでの道筋を意識して議論の方向性を決めるということです。

Opposition : Argumentation
害として挙げられるのは、障碍者の役柄が制作側の誤解や偏見によって設定されることで、かえって障碍者に対するバイアスが広まってしまうことなどです。ドラマを面白くすることが制作側の第一目標で、なおかつ障碍者が主要な役ではないなら、配慮するインセンティブがない。「こんなものだろう」と安易に演出されてしまうに違いないといった説明ができると思います。具体的なハームとしては常に障碍者を弱者として描写し、劣った存在という差別意識を増幅させるといった議論があり得ると思います。またもし仮に障碍者をかなり重要な役・目立つ役で起用せねばならなくなれば、障碍者というだけで(人気俳優を押しのけて)主要なテレビドラマに出演しているなんて、という反感が広がるという議論を展開することも可能でしょう。また今回おそらくターゲットとなる障碍者に無関心な人々、差別意識を持っているような人々は、よく知らない障碍者が出演していても興味をもたないか反感をもつだけ、むしろ人気俳優が主役かそれに準ずる役で障碍者を演じていれば興味を持つし、その俳優に好感を持つからこそ、結果的に彼ら彼女らが演じる障碍者にもより共感するようになる、だからSQの方がbetterであるという説明も効果的でしょう。



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SF: Assume that a technology enables individuals to be sent to a virtual world. (It is like a crazily advanced videogame.) There, individuals can experience whatever it was programmed by the computer. It is basically same as the ordinary world in a sense they feel pain, emotions, and can even die. All of the memory in the virtual world remains, but they will not be physically hurt in the real life. (ex. even if they were killed in the virtual world, they will not die in the real world.) THW make convicted criminals experience how his/her victim(s) was/were damaged.
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Context/Background:
 僕は映画「マトリクス」が好きなのですがそれをヒントに着想しました。最近の技術発展はすごいもので、視覚・聴覚だけではなく、5感の残りでもリアルさを提供しようとしています。ゲームセンターの一部のゲームや、某巨大テーマパークのアトラクションなどで皆さんも実感していると思います。
 それと、「目には目を」のような犯罪者に対する感情ってそういえばあるなぁと考えていました。勉強会で死刑廃止の議論をしたのですがそのときもこういった議論は多く、こんなにそういうファクターを重視するのか、なるほどと思いながら聞いていました。じゃあこれってモーションになるんじゃないかな、と、「これってトリビアになりますか?」のようなのりで頭の中でくっついてこのモーションが生まれました。
 紅葉SFという特性を考えると、みんな多くの場合初めてのブレイクラウンドで緊張しているのかなあと思ったこと、また、Assumingモーションの場合は前提が変に違って議論がずれることを避けたいという思いでモーションが長くなりました。(ex.)のくだり等はいらないとは思いますし、丁寧に説明しているため削ることもできたとは思いますが、「伝える」ことを重視した結果長くなってしまいました。
 なお、KIDAという大会で似たようなモーションが出ていたらしいのは残念でした。とはいえ、この広いディベート界では同じような着想を持つことはありえると思うので仕方ないですね。また、”convicted”にも結構意味を持たせたつもりではあります。
 ちなみにこれも、R3に引き続き「根本的な問い」を考えるチャンスになります。CJSといえば、多くの人がとりあえずRetribution/Deterrence/Rehabilitation/Isolationを並べようどやぁという「ディベ中2病」に陥ります。こういうクッキーカッターは導入としては問題ないのですが、それらがなぜ大事なのか考えたり、それ以外に意図はないのかだとかを考えてはじめて意味を持ちます。思考停止に陥らないように気をつけましょう。ここでは便宜上わかりやすいと思うのでその4類型をベースに話は進めます。

Suggestions for Government Bench:
Retributionの意義からまず確認しましょう。そもそもなんでRetributionが大事なのでしょうか。なんとなく社会・個人の被害があるからというところから発想はできますが、それはまだアイディアでありArgumentにはなっていません。しっかりと意義は話しましょう。そしてそこから、なぜこの方法なのかという説明にうつると思います。「目には目を」というのは一番国民や被害者が納得しやすいということが思いつくと比較的きれいにつながりやすいと思います。多くの被害者が「同じ目にあわせてやりたい」「死刑が決まって殺された娘も喜んでいると思います」などと発言していることからも、感情的な修復にもつながりやすそうですね。被害者にスポットライトをあてるのであればここ数年被害者の参画やケアという概念が広まっているため(なお、日本はここに関して施策が不足していると批判されています)そのあたりと絡めて強いArgumentにすることができるでしょう。
 また、Deterrenceに関しても初犯・再犯に分けて説明することができるのではないでしょうか。後者に関してはRehabilitationとリンクさせると良いのではないでしょうか。Isolationは今回あまり影響がなさそうなので省きます。
 さらに、うまくvirtualだということを利用して、線引きを勝ちに行きたいところです。Govとしてもdeprivation of fundamental human rightsは否定したいはずなので。実際死なないということがどういう意義を持つのかをしっかり説明しましょう。

Suggestions for Opposition Bench:
 OppositionはRetributionの限界というのを人権との兼ね合いで説明していくのが出発点だと思います。現状でtortureなどをせず、しっかりと人権を守ることは必要です。かつ、physicalなものだけではなくpsychologicalな部分までその権利は及んでいるという説明をした後、今回はやりすぎというイラストが必要になります。ここでキーとなるのは、「被害者感情」を基準にしてはいけないという議論を立てられるかです。被害者感情は確かに修復しないといけないものですが、それを現状刑罰の世界に持ち込んでいるかは少しリサーチをしてみましょう。また、少しユニークなラインとしてはirreversibleな刑罰は基本的には行っていけないという話もできると思います。死刑とパラレルに話しておくと、面白いと思います。
 また、他にもrehabilitationに悪影響がでたり、むしろantipathyが大きくなって再犯につながりやすいだとか、またはショックを受けすぎて社会復帰ができなくなってしまうだとか、色々な話がOppositionは展開できると思います。



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GF: THW criminalize NGOs that bribed regional armed groups in order to guarantee their safety.
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コンテキスト
 まず、モーションは、「自分たちの安全を保障するために、地域武装グループに賄賂を渡したNGOをcriminalizeする」という意味です。紛争地域で活動しているNGO団体の要員が殺されたり、拉致されたりすることがあることはニュースなどで放映されたりするのでお分かりいただけると思いますが、そのようなことにされないためにNGOがその地域の武装団体に金銭的、物質的な支援を行い、その対価として要員の安全を保証してもらうことがある(逆に武装団体から要求してくる場合もあったり)と聞いたことがあったので、それをベースとしてモーションを作りました。
 モーション自体はよくある形態をしていて、いわゆる「criminalize paying ransom」モーションと似ています。アーギュメントの展開の仕方もそのモーションと似ていて、コンテキストだけ把握できればある程度容易にプレパを進めれるようにしました。GFでしくられてもまずいので…笑

ガバ
 ガバ側に注目してほしいのは、「NGOがあげた賄賂が結局どう使われるか?」だと思います。紛争地域のコンテキストにおいてのRegional armed groupsは、いわゆる反乱軍やテロー団体で、その地域の政府と紛争中であります。それをベースとして考えると、NGOからの賄賂はその反乱軍やテロー団体の武器・食糧などに変わるというところまでロジックをつなげることができ、最終的にはその地域に住む人たちや国家の治安などに悪影響を及ぼすというところまで落とすところができると思います。たとえばロングタームで見て、「賄賂でお金もらう→強くなる→ほかのNGOとかを殺したら拉致したりする→悪化」と「賄賂が減る→弱くなる→殺人や拉致自体が減って安全→もっと助けれる」を比較して見せれれば強いかなと思います。あとは、ここで地域武装グループが及ぼす悪影響に対するイラストレーションを実例などを入れて説明できれば、もっと強い印象をジャッジに残せると思います。
 その次には、その「悪影響」を「criminalize」するところまでつなげる必要があります。上で言及した「悪影響」のイラストレーションを利用しつつ、NGOがその「悪影響」まで至るConsequenceを簡単に想定できる・確信できるというところから伸ばしていくのもいいと思います。
 
オポ
 オポとしては、まずガバが提示してくる「悪影響」アーギュに対応する必要があると思います。たとえば、地域武装グループのイメージを変えて、NGOからのお金がちゃんと地域の市民にまでいきわたるロジックを説明してガバのアーギュにカウンターできれば強いかなと思います。実際、兵力の動員などの理由で地域の支持を気にする必要があり、そのためある程度の資金を地域に分配しなければいけないなどの話ができて、反軍が新しい福祉制度を導入するなどの実例もあります。そこから自然に「賄賂を使ってNGOが安全に入って人を助ける」のロジックまでつなげて、「NGOはこうやって人助けてるのになぜcriminalize?」というところまで落とせると思います。
 その次には、ガバの「criminalize」に対応しなきゃいけなく、オポからは「意図はよかった」ことや「間接的」であることなどを強調してガバとクラッシュさせればいいかなと思います。



以上が解説となります。ありがとうございました。

紅葉杯2013 Adj.Core
Yongrak Jeong
Akira Kato
Yuka Sasaki
Masaya Harata
Hisateru Heike