2011年7月29日金曜日

Pre Icho Cup 2011 モーション解説

こんにちは、加藤です。

少し内輪ネタになってしまうかもしれませんが、今年の春に行われたPre Icho Cup 2011のざっくりとしたモーションの意図について話したいと思います。

個人的には、DCAの富田さん(UT 3年)と協力してつくりあげた自信作(?!)なので、是非練習でもご活用下さい。笑

ちなみに、銀杏杯の公式サイト はこちらからどうぞ。


Round 1: Twisted Classics
THW allow companies to refuse to hire smokers. 
THBT EU should sanction its members that allow prostitution.
THBT cosmetic surgery should come under national health insurance.

Round 1は2つの基礎を理解し、その2つをしっかり繋げられるかを試しています。
参加者は新2年生も多かったので、
①基礎をもう一回確認して欲しい
というメッセージと、
②1回過去にやったモーションを、ほかのモーションと関連づける作業をして欲しい
というメッセージが込められています。

わざわざ言わなくても分かると思いますが、
1つ目は、tobacco(lifestyle choice)とcompany's right
2つ目は、prostitutionとEU(organization's right)
3つ目は、cosmetic surgeryとnational health care(to which extent should government concern with health?)
をあわせるものです。
見てお分かりの通り、前者(タバコ、売春、整形手術)は絶対に1回はやったことがあるはず古典モーションのはずです。
なお、2つ目は筆者のオリジナルモーションです。

Round 2: First Nations
THW let go of dying languages.
THW prohibit Inuits from hunting whales.
THBT indigenous people convicted of a crime should be sentenced traditionally by their own community.

これは、いわゆる「先住民」にスポットライトをあててみました。
日本ディベート界(正直なところ、日本全体として)こういったマイノリティに関して考える機会が少ないと考えており、彼らについて考えて欲しかったんです。有名どころは、カナダ、アメリカ、オーストラリアあたりをチェックしてみましょう。

ディベートのテクニカルなことを言うのであれば、「文化」系モーションをしっかりと話せるようになって欲しいというメッセージ性が込められています。

Culture is important!!  Culture is a part of identity!!と叫ばれて納得するジャッジは少ないです。なぜ文化が大事なのか、それには伝統があったりだとか、日々の生活に直結しているだとか、様々な理由があるはずです。

なお、Inuitsはカナダの北部に住む先住民です。少し調べてみる価値はかなりあるので、是非リサーチをかけてください。

DCAの富田さんとも話し合ったのですが、(DCAもカナダに滞在していました)カナダでは結構当たり前のように教えられる内容で、普段から意識される内容です。
僕はカナダで"first nation"の子と一緒のクラスでした。そのくらい当たり前なんですね。
なお、2つ目は筆者のオリジナルモーションです。

Round 3: International Justice
THBT western liberal democratic countries should punish communication companies which cooperate with oppressive governments’ censorship policies
THW grant an immunity to dictators who voluntarily step down.
THW invade Libya.

IRですね。国際関係は大事ですよね。
これは、ちゃんと事例をリサーチをして欲しいというメッセージを込めてあります。

1番上は昔話題になった中国におけるGoogle等(ちょっと色あせてしまいましたが)で、
下の二つは当然、リビア等、今話題の独裁者の話ですよね。
"immunity"に関しては基本であるCriminal Justice Systemともつなぎあわせて話すこともできるでしょう。
なお1番下は、当時あったOpposition Movementに関してしっかりリサーチがなされているかも試されます。



Round 4: Radical
THW grant all higher primates rights equivalent to those of human children.
THW make the post-mortem donation of organs compulsory without exception.
THW physically castrate sex offenders.

おそらく、テーマがRadicalということは今までなかったのではないでしょうか 笑
ようかと2人で「とりまRadicalにやってしまおう」というコンセプトに一致しました。
Hard Caseの重要性をしっかりと理解して欲しい
、というメッセージが背後に有ります。
変にSoft Stanceをとると、結局何を守りたいのか、非常に不明瞭になったり、根本的な問いを立てることに臆病になってしまいます。

1番上は「人間の権利って何?」2つめは「身体の所有権はどこまであるの?」3つ目は「犯罪減少のためにどこまでやっていいの?」
という、スペクトラムの一番端まで強制的に考えさせることに目的が有ります。
Oppositionも結構それを考えないといけず、かつGovの「やっていいじゃん」という開き直りスタンスにしっかり言語化して対応できるか、
またFlexibleなスタンスをとれるか等が試されています。

Break Roundは、結構基礎的な分析をしっかりと出せるかがカギのモーションばかりなので、省きます!

いかがでしたか?
全員がラウンドをすることができる予選には様々なメッセージを特に込めたつもりです。
おそらく、どこかで僕(とDCA)の価値観やディベートに対する考え方を反映しているものだと思います。

まあ、結局は、ただの戯言でしかすぎないのですが、参加者に少しでもこういった意図が伝わっていれば・・・幸いです。

加藤彰
東京大学法学部3年、2010年度UTDS部長、2011年度監査、銀杏杯 Founder。Spring JPDU Tournament 2011・Ryoso Cup 2010・15th Umeko Cup優勝、13th ESUJ・Japan BP 2011準優勝、North East Asian Open 2010 Main Quarter Finalist、20th JPDU Tournament & Debate no Susume 2011 Best Speaker等。

2011年7月23日土曜日

Sping JPDU Tournament 2011 モーション解説(後編)

 前回の続きです)

QFthemejusticeTHBT ICC should prosecute for the crimes against the democratic process.”を出しました。2010年末頃から湧き上がってきたコートジボワールのバグボ氏による選挙操作などが元ネタです。

ICCが主体になるモーションは海外でもとても出題率が高かったのでぜひ入れたいなと思っていました。まずはICCの行動原理や目的、過去に行動した例をしっかり分析、説明する必要があります。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/icc/pdfs/icc.pdf に結構詳しく掲載されてますので参考にどうぞ。そしてそれらの原理が、なぜ民主的なプロセスに反するような犯罪のケースにも適用されるかを、すなわち過去の事例と同様に起訴の対象となるかを説明しなければなりませんね。



SFthemeは文化。あまりメジャーでない分野で、最近出題されていないように感じたので出してみました。あまりいうことないです笑



GFthemeDisasterにしました。東日本大震災の直後ということで、災害をテーマに入れたいと思って出しました。実際にラウンドが行われたのはTHBT the state should not pay for the reconstruction of areas prone to repetitive weather disaster.”でしたが、これは注意しないとAffは「被災者見捨てる」っていうスタンスになりかねません。再建を手伝わないんですからね。そこで「ミスチョイスを防ぐために、危ないところに住むことをdiscourageするプランだ」というスタンスを示すのがミソだと思います。(実際のGFはその通りに進んでいましたね)このように、一見聞こえの悪いプランの時に、何か別の言い方がないかという考えを持つことは大事じゃないかなと思います。


モーションの解説はこんなもんですかね。

最後にジャッジしてみた感想を

大会の最後でも言ったんですけど、やっぱり「地に足の着いた」スピーチを意識してほしいなってことですかね。よいアイデアは出てるけど、アイデア止まりなスピーチ、アーギュメントが多かった。だからなんとなくふわふわした内容に終始していた気がしました。

地に足の着いている状態ってのは現実的であるってことです。ジャッジが「うん、そうだよね」ってうなずいてくれるのは、実際に起こりそうなこと、実際広く受け入れられている考えですからね。じゃあ実際に起こりそうなことって何を言えばいいのか?

答えは簡単、具体的にしゃべればいいんです。具体的ってのは目に見える、容易に数や程度が想像できるレベルのことです。

例えば、どのプランでもだいたい行動を起こす人(国、団体)と行動の影響を受ける人(国、団体)がいますよね。彼らにはどんなタイプがいて、どんなポジションにいて、どんな行動原理で動いていているかっていうのを説明するというのは一つの手です。

GFのモーションを例にとりましょう。このプランで災害の危険にさらされやすい地域から引っ越す人と、それでも残る人にタイプ分けできます。残る人ってのはおそらく、「残らざるを得ない人」が多く含まれます、それはたとえば身寄りのない老人や、引っ越すだけの土地や財力、体力のない人といった、社会的に極めて弱いポジションにいる方たちだと思います。さて、そんな弱い立場の人たちがこのプランの後に災害に遭うとどうなるでしょう?財力のない貧困層と、動けない老人たちが災害で家を失い、病院や学校を壊され、路頭に迷う。自分たちだけではとても復興などできない。しかし国や自治体からは一切再建の援助はない。これは「実際に起こりそうな悲惨さ」です。

さて、僕からの話は以上で終わりです。何かみなさんのお役に立てる話が少しでもあるといいなと思います。

小口昂雄
東京工業大学修士1年、Titech ESS 2010年度チーフ。Spring JPDU Tournament 2011 Chief Adjudicator。4th Supernova Cup準優勝、19th & 22nd JPDU Tournament Quarter Finalist、Elizabeth Cup 2010優勝&Best Speaker。 

2011年7月18日月曜日

Sping JPDU Tournament 2011 モーション解説(前編)

こんにちは、東京工業大学の小口昂雄です。

今回は4月末に行われたSpring JPDU Tournament(以下「春T」)についての記事を書かせてもらいたいと思います。「なにを今更3か月前のことを…」とか突っ込まないでくださいね!!

僕はこの大会でChief Adjudicator(以下CA)を務めました。なので、CAとして、どんな意図でモーションを出したのか、ジャッジを通してどんな感想を持ったかなどを書いていきたいと思います。ただ、ちょっと前のことなので記憶が定かでないところもあります、そこらへんは勘弁してくださいm(_ _)m

最初にモーションについて。結構普遍的に使えるprincipleとかを含んだモーションを中心にその背景などを解説していきます。


 


まずR1。政治関連のtheme THW introduce a universal basic income.を出しました。このモーションは「大きな政府を支持する理由」(Aff)、「小さな政府を支持する理由」(Neg)を説明できるかを試す意図がありました。

このモーションのポイントはuniversal”というワードです。国民全員に配るんです。おそらく多くの人がこう考えたんじゃないでしょうか→「貧しい人にだけ配ればいいんじゃないの?給料ない人とか…」ごもっともです、リッチな人になんでお金をあげなきゃならないのでしょう?

ここでキーワードになるのが「不確実性」です。

どんなに裕福な人でも、突然転落してしまう可能性があります。例えば東日本大震災で、突然家を失うかもしれません。予期せぬ交通事故にあうかもしれません。ヒルズ族のホリエモンはある日突然逮捕されて無一文になりました(これは自己責任だけど…)。何が起こるかわからない世の中、不確実性に満ちた世の中では、「今」の裕福が必ずしも「未来」の裕福を保証しているわけではありません。

「大きな政府」を支持する理由はここにあります。政府はすべての人々の最低限の生活を保障しなければならない。しかし世の中は不確実性にあふれており、裕福な人を含めて誰しもがおちぶれる可能性がある。だからuniversal”にお金を配ることで最低限のラインを恒久的に保たねばならない、というわけですね。



次にR2Righttheme”THW legalize political contributions from foreigners.”を出しました。モーションを考案し始めていた3月頃、ちょうど前原外相(当時)が在日韓国人の方から献金を受け取ったことが問題になっており、時事ネタとして出してみました。

外国人が政治に影響力を持つことの是非、そしてそれが「お金」であることの是非が争点になります。国政を任せていいかどうかの基準を考えるときは、「非常事態」の際を考えることが有効になると思います。戦争の時、災害の時、不況の時…いざという時にその国を助けようと必死になるか、それとも見捨てるか。見捨てるような人たちにかじ取りを任せてはならない、といった説明ができると思います。



続いてR3、教育がthemeで、エリート教育とaffirmative action の古典2つと”THW publicise the evaluation of teachers”を出しました。元ネタはアメリカの法律。2010年からオバマ大統領の教育改革の一環としてアメリカ各州で導入が進んでいます。(あと…ちょっと最近はやりのジャッジ評価という体制にも似ているモーションです笑。こちらは公開はしていませんけどね。)

先生を評価することは教育の改善につながるのか?が争点になります。
評価されることで、先生は自分の改善点がわかり、かつ公開によって競争意識が芽生えて努力するインセンティブが上がる、そして教育水準が上がるというのがAffの議論。対してNegは先生というステークホルダーのユニークネスの分析が重要になってきます。先生とはいわゆる聖職に近いもの。「ものを教える」という立場上、生徒の規範となり、尊敬されている必要があるというユニークネスがあります。毎年評価の低いダメ先生がいたら、生徒がついていくでしょうか?そんな先生がこのプランで大量に産みだされたら…



予選の最後、R4では国際関連のthemeで出しました。”THW ban tax havens”は古典ですが、みなさんあまりなじみがなかったのでは…?なんだか難しそうなこのモーションは、実はみんな大好き「個人の自由と責任」の話と同じ議論なのです。

非喫煙者「他人に迷惑だからタバコやめろ」(harm to other
喫煙者「楽しみなんすよ、自由にしてじゃん」(freedom of choice)

とほとんど同じ構造を持っているんです。一見複雑な国際モーションも、身近な議論に落とせる点で面白いなと思って出してみました。

Tax havenは資源や産業のない比較的貧しい国(ドバイとかモナコとか)が、外資を呼び込んで発展するときにとる戦略です。所得税や法人税を安く設定することで外国の富裕層の資金を呼び込み、国を潤すわけです。しかしおかげで先進国は富裕層に逃げられて本来もらえるはずだった税収が減ってしまいます。

先進国「うちらの国に迷惑だからtax heavenやめろ」(harm to other
Tax havenの国「うちの成長戦略っすよ、自由にしていいじゃん」(freedom of choice)

ほら、前述の「個人の自由と責任」の話にそっくりですよね。国家単位での自由は「sovereignty」(主権)と言われていますが、基本は同じ構造です。
(他にもマネーロンダリングやテロの資金源となっている問題がありますがここでは割愛)

(次回に続きます。何か質問等あればmarketplace.debate[@]gmail.com ([]を外してください)まで!)


小口昂雄
東京工業大学修士1年、Titech ESS 2010年度チーフ。Spring JPDU Tournament 2011 Chief Adjudicator。4th Supernova Cup準優勝、19th & 22nd JPDU Tournament Quarter Finalist、Elizabeth Cup 2010優勝&Best Speaker。 

2011年7月14日木曜日

記事予告のお知らせ

こんにちは、加藤です、お久しぶりです。
今日は、記事の予告をしたいと思います。

marketplace.debate[@]gmail.com ([]を外してください)で皆様のご意見・ご要望をMDIでは募集しております。

その要望に応える形で、記事の予告を致します。
要望が多かった、

・リサーチの方法
・ジャッジング(Adjudication)の仕方、コツ

の2点に関しての記事を書くことが先日決定いたしました!
ただいま、担当者の振り分け等の段階ですので、もうしばらくお待ちください。

現在、多くの大学がテストないしレポート期間であるため、少し遅くなってしまうと思いますが、どうぞごゆっくりお待ち下さい。

ほかにも、こういった記事が読みたい!だとか、特定の記事に対するFeedback等を、marketplace.debate[@]gmail.comで募集しております。6ヶ月限定の、双方向性のブログであるので、早い段階から連絡を頂けると執筆者一同嬉しい限りです!

基本的に、執筆者チームは本当に、意見等を待っていますので、どしどしご応募下さい。
(ちなみに、Hear Hear!!やコメント・意見を待っている人が僕も含め多いです!というか全員です!)

それでは、お待ちしております。

純ジャパが海外を制すには? (後編)

前回の続きです)

では、逆の視点、つまり「財政赤字は許される」といった議論を考えてみましょう。

ビルトインスタビライザー

という言葉を知っているでしょうか。財政に備わっている景気を自動的に安定させる装置です。このビルトインスタビライザーのもとでは、不況時には所得減で税収が減ったり、失業増で失業手当が増えたりするなど、財政への負担が増えたりする一方で、好況時には税収が増えたり、上のような社会保障費を経るわけですから、財政への負担が減ります。

この前提に立つ時、財政赤字を招く減税や財政政策は許容されます。なぜなら、それらの政策は人々の消費を活性化させ、好況をもたらす可能性からです。そうなれば、増税しなくても自然と税収が増えたり、発展途上国なんかで考えてみるとこれをきっかけに行動成長を起こしてGDPが爆発的に増えるというありがたいことさへきます。だから、一時の財政赤字は許されるわけです。

例えば、麻生政権が行った経済政策であるエコポイントは、景気浮揚策として一定の効果をあげました。政府の試算によれば、5兆円もの経済効果がありました。それに多くの人が、環境に優しい自動車を買って一石二鳥でしたね。

*エコポイントシステム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%AE%B6%E9%9B%BB%E6%99%AE%E5%8F%8A%E4%BF%83%E9%80%B2%E4%BA%8B%E6%A5%AD


ちょっと鋭いディベーターは、「けど、ビルトインスタビライザーとかいう考え方があったとしても900兆円もの借金をどうやって対処するんですか。火の車でやばくね?」とか思ったりするんじゃないでしょうか。

この指摘は全くもって一見、正しそうに見えます。しかし、経済学者ならこのようにかわします、「一般の家計のように借金を捉えることは政府レベルでは適切ではなく、またそのように捉えたとしても、政府には莫大な資産(土地や外貨など)があるので問題ないです。それよりも考えなければいけないのは政府における収入と支出のバランスであるプライマリーバランスです」例えば、税収が40兆円で、歳出が40兆円ならば、プライマリーバランスは取れていると言えます。結果的に、景気のサイクルである3から10年というスパンでみるならば、プライマリーバランスは取れていると言ったことがあります。小泉政権時に、イザナギ景気匹敵する連続的な好況でひさしぶりにプライマリーバランスがプラスになったということがありました。

プライマリーバランスが重視される理由には、財政破綻が起こる可能性を測る指標になるというものがありあます。例えば、プライマリーバランスが悪かったら、永久的に財政赤字が増え続け、それに応じて財政破綻する可能性も高くなり、国債のお金が返ってこなくなります。逆に、プライマリーバランスが良かったら、長期的ですが財政赤字は減り、それに応じて財政破綻する可能性は減り、国債のお金はちゃんと返ってきます。つまり、プライマリーバランスの良し悪しによって、国債を買うかどうかが決まり、ゆえにプライマリーバランスがよかったら財政破綻を防げるわけです(最悪の事態を免れる)

*政府の資産についての議論は、皆さんが思った通り、経済学者のいい訳っぽく聞こえるきらいがあります。実際、政府の資産なんていうのは計算しづらいですし、また売ることもできませんから、少し普通の資産とは違った性質を持っていて、資産としてカウントできるかも未知数です。けれども、プライマリーバランスの議論を丁寧に行えば、ある程度経済学の知的水準が高い海外ジャッジなんかは理解できるのではないかと思います。他にも、政府のカネの使い方を市民が決めるべきといった社会契約論っぽい議論などもできますし、オポ側のスタンスはいろいろあるので柔軟に考えて下さいね。

以上をあっさりとまとめてみると、長期的には財政赤字は許されなさそうですが、短期的には許されそうな感じがします。ガバとオポ双方に、一分の理があるということが分かってもらえたかなと思います。もちろん、海外大会ではこれぐらい議論は当たり前のようにされていたようなので(池原○明さんと高柳○太くんいわく)、双方ともが長期と短期の互いの弱い点をうまく補強する議論をだしたり、「~べき」議論をだしてみたりして、包括的な戦略が次には求められそうですね。

具体的には、、、、と思いましたが、これ以上皆さんが考える余地を奪ってしまってはいけないので、いったん止めるということにします(×石渡が寝たい)

皆さんにぜひ、考えてほしいテーマとして、列挙してみます。リサーチや思考実験などをして周りの人と話し合ってみてください。もちろん、次にお会いする機会があれば石渡に直接議論してもいいです。Welcome!!

1、    なぜIMFあるいは中央銀行が予算決定権を持つべきなの?
2、    そもそも財政破綻ってどれだけやばいの?
3、    財政破綻していない国もあるけど、それらの国はどうやって破綻を回避したの?
4、    (少し難しい議論として)二大政党制をもつ国で財政赤字が多いのはなぜ?

長文でしたが、どうでしたか。経済学が政治学や法学の議論よりもアレルギーが高い理由に、政治学や法学が平等や人権といったなじみやすい概念を扱うのに対して、経済学は今回の文章に出てきたような専門用語(ビルドインスタビライザー、プライマリーバランスなど)が多く、また前提とする論理(所得税は累進的、円高は輸出に不利とか)が多いからなのかなと思います。ということで今回の文章で、少しでも経済に対する理解が高まったのであれば、筆者としては幸いです。

このブログ執筆に関わったひとつの動機でもありますが、純ジャパでも確かなマターがあれば、微妙な英語をカバーして、十分に活躍できるのではないかと思っています。クリアなマターとクリアなマナーは裏返しの関係にあるとも思っています。だから、一つ一つの概念を大切にしたり、現実に対する意識を高めたりして、日々マターを磨いていけば、自ずと海外でも活躍する日が来ることを約束します、マジで。ガハク君よりは、TOEICの点数が高いですが(苦笑)、英語がダメダメな僕でもそれなりに活躍していますし。

最後に。質問や特にこういうネタを書いてほしい意見はお待ちしていますので、ぜひmarketplace.debate[@]gmail.com([]を外してください)にメールしてください。


石渡慧一 
国 際基督教大学卒業、東京大学公共政策大学院修士1年。2009年度ICUDS部長。Australs 2009 ESLブレイク、 All-Asian 2008 EFLブレイク(なお、この年の北東アジア参加者の中で1位)、NEAO 2009 EFL ブレイク、NEAO 2010 ジャッジブレイク、1年時ワールドでDCAと同じラウンドに突っ込まれたところイラジャ認定される。

2011年7月10日日曜日

純ジャパが海外を制すには? (前編)

 石渡と申します。「誰、それ?どっかのイラジャか?」と思った人たちのために、自己紹介をクイズ形式で。該当する者を考えてください。

    大会の時によく首に巻きもの(ショール)をしている人
    ICU生と東大生とよく話していて、どっちの所属かイマイチ分からない人
    池原○明さんの次にスタイルがたぶんスマートな人

正解は、、、

すべてです(笑)ICU卒東大院所属(今は一年生)で、ショールは十種類以上持っていて、ジーンズはスキニーしか合わない人です。全く意味のない自己紹介なので、今回のブログにつながる紹介をすると、学部時に経済学メジャーで、院でも経済政策コースに所属しています。主に学部時代に行っていたディベート活動としては海外旅行兼英語を強制的に向上させる留学プログラムとして海外大会によく参加していました(エイジアン×1、オーストラル×1、ニャオ×2、ワールド×1)

ということで、僕が執筆するブログは題名の通り、「純ジャパが海外大会を制すには?」ということを中心に書いていきたいと思います。

海外大会にそれなりに参加した僕の経験から言うと、「経済とIRを制する者が海外を制す」です(IR: (International Relationship)過去のモーションをみれば分かるように、ボツワナワールドではジムバブエやイスラエル、中央銀行、マカオエイジアンではEEZsWTOなどモーションの中にそれらしき単語が散見されます。あるいはモーションが暗に求めるエグザンプルなどを考えたら、経済とIRの知識が必須であることが分かったと思います。

そこで今回は、今日、世界中で話題になっている財政赤字をたたき台にして、経済学の考え方や知識を解説してできたらなと思っています。ICUでは石渡は長文駄文を書くことでUTでは長いリフレクを行うことで有名です。覚悟してくださいね(笑)

財政赤字というテーマを選んだのは、前回のワールドでもICUTでも以下のようなモーションがでていたからです。
This house believes central banks should set limits on government spending.
THBT IMF should cap government debt of member states.

モーションがもつ問題の背景には、世界の各国(ギリシャ、日本、ポルトガルetc)が軒並み巨額の財政赤字を抱えていることがあります。日本に至っては、約900兆円の財政赤字です。今の税収が約40兆円なので、国民へのサービス(教育、福祉、軍事etc)を一切停止しても利息など抜きで単純に考えて、20年以上も返済にかかります。このようなこともあって、上のワールドやICUTなどのモーションが考案されたのでしょう。

*正確性を期すために、適宜参考資料などを紹介するつもりですが、日本の国家予算などの基本知識に関しては、AveregeReasonablePersonとしては前提だと思うので紙面の都合上割愛します(×面倒くさい)。

ちょっとディベートに慣れてきた人たちの中には、「財政のムダを省いていけばいいんじゃない?議員の給料とか無駄な公共事業とか」とか「ローンなどの借金を抱えている人々がいるように、政府は理性的な判断を持っているのだから、借金しても未来には返せるんだから大丈夫っしょ(ドヤッ)」みたいなことを考えて、問題の深刻性を真剣にとらえていない人もいるのかなと思います。

その淡い期待とは裏腹に、予算の大半が、医療などの社会福祉や教育などの「必要」な支出であり、仮に公務員の給料などの支出を切りつめても1兆円単位しか得られなく、「公務員や議員に関するムダを省け」みたいなメディアの論調は、この観点からみるとややパフォーマンス性が高いものと言えるでしょう。(参照 財務省のHP)

また、重要なことに財政赤字は「構造的」に拡張していくものだと考えられています。なぜなら、政治経済学者のブキャナンが述べるには、民主主義制度においては、人々は本質的に減税や国債発行を伴う財政政策を求める性格があるからです。よく選挙なんかで言われる「増税を言うと選挙で負ける」というやつです。日本の例をみると明らかです。税収40兆円しかないのに対して、予算は90兆円で、不足分はすべて国債、つまり借金です。「これがポピュリズム民主主義の結果です」(先日参加した与謝野大臣セミナーでの大臣の言葉)日本に限らず、海外でもギリシャやポルトガル、イタリアも同じような状況です。

*ブキャナン wikipedia

*日本の例に特化していますが、これは僕が知らないのではなく、日本と言う身近な例で実感してほしいのと、ぜひ皆さんに調べてほしいからです。ディベートで求めらる例ぐらいであるならば、簡単な新書だったり、ウィキペィアを含むインターネットサイトで大体、事が済むでしょう。

またまたちょっとできるディベーターには、「どうせ後で借金を返すために、負担を強いられるし、財政破綻したら痛い目に会うのは俺らなんだから、そんな馬鹿なことしないよ”People are not so STUPID!!!”(キリッ)」と思って、ブキャナンに果敢に挑もうとする人もいるかもしれません。

ブキャナンに代わって僕が反論すると、その議論は非現実的です。なぜなら、痛い目に会うのは、彼ら(現役世代)ではなく息子娘たち(将来世代)であって、彼らは負担を背負う可能性が低いからです。だから、彼ら現役世代は財政赤字という問題の深刻性を見誤っていて、ある意味彼らとしては「合理的」に減税や財政政策を求めてしまうわけです。

*「現役世代が将来世代のことを考えない」という命題に関しては、経済学の分野では論争がありますが、ディベート的にはこの命題がほぼ正しいと思うのが賢いでしょう。ちなみに論争の中身が気になる人は、遺産がなんであるのかっていうのを考えてみるといいです。

このような「現役世代が将来世代のことを考えない」/「民主主義制度においては、人々は本質的に減税や国債発行を伴う財政政策を求める性格がある」という前提が先のモーションの問題に対する深い分析になるわけです。

では、逆の視点、つまり「財政赤字は許される」といった議論を考えてみましょう。 

(次回につづく)

 
質問や特にこういうネタを書いてほしい意見はお待ちしていますので、ぜひmarketplace.debate[@]gmail.com[]を外してください)にメールしてください。次の記事を書くときにも参考にします。


石渡慧一 
国際基督教大学卒業、東京大学公共政策大学院修士1年。2009年度ICUDS部長。Australs 2009 ESLブレイク、 All-Asian 2008 EFLブレイク(なお、この年の北東アジア参加者の中で1位)、NEAO 2009 EFL ブレイク、NEAO 2010 ジャッジブレイク、1年時ワールドでDCAと同じラウンドに突っ込まれたところイラジャ認定される。

2011年7月7日木曜日

EFLの英語の練習の仕方

こんにちは!
東京工業大学3年の伊藤です

もうすでに、加藤さんの素晴らしい記事でお腹いっぱいだと思いますが、今週は大人気週刊作家高柳さんがオーストラルのため休載するので、読み切り作品を書きます!
必死に個性を出して月刊作家になれるように頑張ります。

今回僕が書くのは「EFL(English as a Foreign Language)の英語の練習の仕方」です。が、正確には「僕のスピーチの英語の練習の仕方」です。つまり、これをやるとうまくなるぞ!というやつではなく僕はこうしましたというやつです。でもブログタイトル通りで問題ないと思うので続けます。

まず最初に、ディベートにおける英語の重要性ですが、とても大事だと思います。片言の外国人と日本人が日本語で議論したら、多少内容が薄くても日本人に納得する気がします。1年生の時ディベートは中身だ!と言われ続けて、頑張ってリフレク聞いて「よ~し、英語上手いだけの頭からっぽ帰国を倒すぞ~」と頑張って練習しました。ですが、マターと同じくらいマナーも大事だということにも同時に感じました。というのも、中身が大体詰まってきて、せってるラウンドやオーディエンスの多いブレイクラウンドでは英語が超重要だったからです。この記事はそういうある程度出す視点や議論・理由・例などが分かってきた人のためのものです。(今の2年生くらい?)

視点が安定しなかったり、スピーチの途中で良く詰まったり、とんでもないワーディングが出てくる人(主に1年生)は、スピ練、ラウンド、そしてジャッジのリフレクを良く聞きましょう。ジャッジは、ディベート大好きなので酷使して大丈夫です。(先輩になった時に後輩に還元しましょう)
スピ練は復習スピ練が良いと思います。ラウンドでやったスピーチをもとに、先輩のリフレクを取り入れて満足のいくスピーチを作る感じで。

ある程度のレベルのラウンドが出来るようになった人は、ついにディベートの音源や英語のニュースを活用できると思います!表現力を上げる段階です(本来、段階をわけるものではないかもしれませんが)

まず、聞く音源は国際大会のものが良いと思います。きっと、そっちのほうが内容が良いので。インターネットで簡単に見れるし、JPDUの公式サイトにものってます。最初は結構ハードル高いんですけど、頑張って聞きましょう。TOEIC550くらいの理系学生(笑)の僕は最初全部書き出してみました。表現力の上達に繋がったかは分かりませんが、何回聞いても頭に入ってこない人はやってみてもいいと思います。必死になりすぎて目標を失った僕は分からないところは音楽データを遅く再生するフリーソフトを使って聞きました(ばかです)。もしくは内山君(同じ大学のディベーター、とてもディベートがうまい)に聞きました。とても感謝しています。スピーチを書きだすメリットとしては、全部理解できる、シャドイングしやすい、後輩に渡して後輩に難しいスピーチを聞く気を起こさせる、後輩にドヤ顔できる、自己満足に浸れるという感じでした。

音源を聞くときに僕が常に気をつけているのは目に見える何かを手に入れることです。
表現力って、上げようと思わないと上がらないものだと思ったので意識するようにしました。日本語と英語を頭の中で必死に変換してるEFLの人達が、英語の素晴らしいマナーをラウンド始まってから考えても無理です。あ!これ音源でやったやつだ!っていう塾みたいな展開を作りましょう。当然ながら、一般化できていて、良く使えそうなものほどいいです。そして、この一般化したものをまとめて、ラウンドで使うことが重要です(=目に見える何かを手に入れたことになります)。とりあえず、よくある対立軸の1st principleの説明(理由、アナロジーの説明の仕方も含む)です。

他にまとめるものは、個人的には大きく3つあると思っていて、言い回し、ワーディング、一般的なイラストです。Ice break、抑揚などは良くわからないので飛ばします。誰か書いてください。

まず言い回しが…ん!?ページ数が無いようです
無理やり2話分の内容を書くことによって週刊作家になることが出来ました。
今回は結構総論みたいな感じで内容薄いですが次回もまあ薄いと思って期待しないようにしましょう。
また、何か意見などがあればmarketplace.debate[@]gmail.com([]を外してください)にメールしてください!次の記事を書く参考になります!

(次週は作者定期試験のため休載いたします)


筆者紹介:
伊藤雅博
東京工業大学3年、Titech ESS現チーフ。2011年度ジェミニ杯Deputy Chief Adjudicator。2010年度ジェミニ杯優勝、Japan BP 2010準優勝、7th Debate no Susume優勝、ESUJ 2010 2勝等。

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2011年7月4日月曜日

1年生に対するリフレク

こんばんは、UTDS3年の加藤彰です1年生のエジュケ、第2段です。

ちなみに、書き手は僕だけではないのでご安心下さい(笑) 他の執筆者の方々も今、書いてくださっていますので、もう少々お待ち下さい。

なお、何か質問や取り上げて欲しい内容等があればmarketplace.debate[@]gmail.com ([]をはずしてください)までどうぞ!



さて、今日は、最初の頃(最初の数ヶ月間)の、1年生に対するリフレクに関して、です。
個人的には、大きく5つあるのかな、と思います。


① 基本に忠実な話をすること!
あまりテクニカルで難しい話をすることは好ましくないと思っています。
最初のうちからPhilosophyとか、テクニカルなRefuteとかUniquenessとか、色々言っていると分からなくなります。
ここは、大学ごとのカラーが出てくるものですが、教えることは最初はシンプルにしておくのがオススメです。
僕がやっていたのは、
・Matterなら、AREA、Impact、Refuteの型(詳しくは前回参照!)
・Mannerなら、Organizationの意識とSignpostやConclusion comes Firstの徹底、
・Love Motionなら比較とGoal等かなあと思っています。


② 必ず褒めること!
これは結構大事なのかなぁと思っています。
僕はあまり褒めるのが得意じゃないのですが 苦笑
でもできるだけ、2つ褒めて、1つアドバイスするというようなことは心がけていました。
外国語で難しい議題に関してディベートをするというのは相当きついことです。それを理解してあげられるといいですね。


③ 短めに!
あまり長い時間をかけると良くないです。
ぱっぱっと、端的に行きましょう。
最初のうちは「これも言いたい、あれも言いたい」というのがあるでしょうが、それはぐっと抑えましょう。
全部で10分ー15分、長くても20分くらいでリフレクが終わるのがベストだと思います。
よくよく観察していると、MOあたりの話をしている間、PMが暇そうな顔をしていたりすることもあります。
リフレクの時間は、ゆっくり増やしていくものだと個人的に思っています。


④ まだ最初だということを覚えておくこと!
ディベートって、分かりづらい競技です。
どんくらい上手いのか下手なのか分かりづらいですよね。
野球なら、打てるとか投げられるとか明確なのがあるんですが、ディベートは初心者がイメージしづらい。
最初は3分くらいしか話せないのも当たり前、アイディアが出てこないのもあたりまえ、MemberやReplyがきついのもあたりまえ。
なんですが、それに気づかず「自分はだめなんだ」と思ってしまう人がいたりします。
ですが、必ず上手くなります。どのようなディベーターでも。
なので、ちゃんとあせらなくていいということを言ってあげましょう。


⑤ 1年生を覚えてあげること、以前のラウンドと比較したりしてあげること
何回か着てくれている子の名前はできるだけ早く覚えましょう。
といっても・・・僕はすごく苦手だったのですが。。。。正直、ここは他の人に任せたりしていました 苦笑
だけれども、名前は絶対に聞いて、リフレクの時も名前を呼ぶ。
そして、何回か見る事があればその時と比較してあげたり、共通してできたことを指摘してあげたりしましょう。
例えば、前よりRefuteがよくなっていればそれを言ってあげたり、2回ともイラストが上手ければそれを言ってあげたり、と。
覚えていてくれると嬉しいものですし、それにやる気もあがります。
どうでしょう?個人的にはこの辺りを意識していました。参考になれば幸いです。

2011年7月1日金曜日

エジュケの仕方は?

連投します。UTDS3年の加藤彰です。

この時期なので、1年生のエジュケ(Education)に関して書いてみたいと思います。
1年生を教える。これって結構怖いですよねー。難しいですし。自分ごときが教えられるのか?と悩んだりもします。気持ちはすごく分かります。(^ω^;)

なんで、僕がエジュケ中に思ったことを書いてみますね。

【総論】
僕が1年生のエジュケで常に意識したのは、基礎をしっかり、です。
これは、UTの特色で、先代部長・その前の部長からの内容を引き継いでいます。
梅子杯時にも「基本を落とすな!」とアドバイスを受けた記憶があるくらい、
基礎の重要性は叩き込まれたと思っています。

では、具体的にはどのような風にエジュケすればいいのでしょうか?
僕は、本当に基本に忠実にしたつもりです。

つまり、ArgumentならStatus Quo, After Plan, Impact (AREA×2→Impactの型)、
RefuteならNot True/ Irrelevant / Not Important等を中心に組み立てる。
Practicalはuniqueで大きな話が大事、
OppはHarmを出すこと!等。
全てオーソドックスな内容を言ったつもりです。

大抵、ディベートを経験しておらず、かつ日本でずっと過ごした1年生が対象であることを考えると、こういった分かりやすい話から入るほうが効果的なのかな、と思っています。

それに、結局のところ国際大会にしろ、国内大会にしろ上手いディベーターはこれらの基礎を基にした考え方をとっているわけです。

経験上、国際大会に行っても、なんだかんだで上手いディベーターはもちろん、英語力・知識量でも差はありますが、それ以前に、基礎を落としていないところに強さがあると思いました。

正直、基礎的な考え方ができれば、梅子・土筆では勝ちを狙えると思います。

なんだかんだで、去年の梅子の王者である成蹊はこれがしっかりしてましたし、
準優勝ないし3位だった慶應・UTも基本が比較的出来ていた印象を受けました。
それに、上級生大会へステップアップするときも、一つの考え方として非常に有用です。

【注意点】
ただ、この教え方のみに終始すると柔軟性が失われる可能性もあります。
あくまで、AREAにしろ、Refuteの型にしろ、1つの考え方でしかありません。
それは、エジュケするときに自覚しておくこと、さらにエジュケする際も意識しておくことが大切です。
つまり、「SQ・AP・IMPの順番に話さなかったから減点」だとか、常識的にSQがなくてもAPが説明されていれば分かるときに「SQがなかったのでとらなかった」
等は行き過ぎなときもあるわけです。
毎回システマティックに全部話す必要はあくまでなかったりします。
あくまで、ディベートは「第三者を説得する競技」なので、柔軟に対応することが必要だと思います。

長くなりましたが、今日はこの辺で!

Grand Open!!

こんにちは!!

いよいよ、The Marketplace of Debating Ideas (MDI) を開設します!!
第1回のエントリーということで、ちょっと緊張しています。UTDS 3年の加藤彰です。よろしくお願いします。

◇ ◇ ◇ 

今、ディベート人口は増えています。先に行われたSeikei Jointを見ても過去に類を見ないほどのチーム数がありました。
また、様々な大学もParliamentary Debateを始めるようになってきました。

このブログを開始した理由は、色々な人がアクセスできる公共財ができたら良いな、と思ったからです。
僕自身、色々なディベーターにお世話になって、様々な先輩に教わることができました。
その時「色々な人のディベートに関る意見や考え方を知りたい」と思いました。

実は今の新2年生の何人かにも聞いたのですが、僕と同じような悩みを抱えていました。
そこで、何かできないか。その問いへの僕なりの答えが「共同ブログ」でした。
色々な人にディベートのテクニック、ジャッジの仕方、エジュケの仕方、モーションのアプローチ方法等を聞いたら面白いのではないか、と思いました。
そこで、6ヶ月という短い期間ではありますが、共同ブログを運営しようと思いました。
執筆を手伝ってくださる有志のディベーターは、その都度のお楽しみにしたいのですが、
・純ジャパで、AustralsのESLブレイクを達成したOB
・JPDU TournamentのChief Adjudicatorを務めたOB
・今バリバリ現役をやっている部長
等、など。色々な人が協力してくださることが既に決まっています。
(また、さらに増える可能性もあります!)

最低週1回のペースの更新を目指して書いていくつもりです。
また、何か「これが聞きたい!」というような内容があれば答えていくつもりですので、是非コメントか、もしくはmarketplace.debate[@]gmail.com ([]をはずして下さい)までお気軽にご連絡下さい!

それでは、これから6ヶ月至らないところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします!