2012年3月28日水曜日

TANACUP 2011 モーション解説 前編


遅くなりました。きっと加藤は怒っていることと思います。()
今回のタナカップは世界大会に向けた準備ということで、モーションもJapan BPのやや斜め上をいく難しさをイメージして考えました。拙いですが、参考にしてもらえたらと思います

R1
THW prosecute citizens who acted as human shields.

コンテキストとしてはパレスチナやリビアです。ガダフィーがhuman shieldを使ったのは1年ほど前に話題になりました。細かい話は割愛しますが、気になる人はウィキペディア(英語版)で調べてください、けっこう出てきます。
Govとしては、まずpunishではなくprosecuteであることがポイントだと思います。全員を審議なしに無罪にするのではなく、とりあえずcourtに送る必要性はあるという発想からargumentが出てくると思います。
①戦争が長期化し、被害が拡大した。(consequence
指導者を捕まえることがなかなかできないために、周辺地域での紛争は続き被害は拡大します。これはHarm to othersに当てはまると言えます。ここで重要なのはhuman shieldのため、戦争の収束が遅くなっているということを証明することです。当たり前のようで、意外とイラストが重要なので考えてみてください。
human shieldに関わった人の意志は分からない。(incentive
確かに一般人が巻き込まれる形でhuman shieldとなった場合もありますが、そうではないケースもあります。つまり、自由意志で加担したということです。実際、リビアの場合もガダフィー軍の武器庫を守っていた市民もいたようで、courtに送って審議する必要はあるということになります。ここで重要なのは、ガダフィー軍などの攻められている側に加担することがprosecute(この場合はpunishでもいいかもしれません)に値することを証明する必要があります。僕が見たラウンドでは、この点をOppはうまく突いていたように思います(後述)。さて、実際に攻められている時点で、多くの場合は倒すべき悪だと認識しているということが言えます。その悪に加担することは罪だとなります。事例やイラストを引っ張ってください。
warにおけるcivilianの位置づけ
戦争において、一般市民には攻撃を受けないという絶対的な保護が与えられています。これにより戦場において市民は大きなadvantageを利用して、その結果human shieldのようなmilitary operationを阻害することにつながっているという考え方です。そのインバランスを整えることがprosecuteだとも言えます。これも兵士が攻撃できないことで受ける損失を上手くイラストする必要があります。

なんとなく煮え切らない感じですが、Oppに移ります。

Oppとしては、Govと同じくprosecuteまでopposeする必要があります。
Freedom of Expression
human shieldは1つの表現だというアイディアです。たとえ世界を敵に回している独裁者であろうと、市民は誰を支持しても構いません。問題は、ⅰ)支持の方法としてこれが適当かということ、ⅱ)独裁者を支持する権利はあるのかということです。特に、軍が侵攻して来ている状況では市民にできることはかなり限られています。実質的な効果を上げるためには、軍の前に出て命を張るしかないと言えます。さらに、独裁者を打倒しても将来が望ましいとは限らないと言えます。ここでイラクの例は使えると思うので、調べてみてください。
あと小さいですが、自分のpropertyを守るという名目でhuman shieldとなっている人もいると思うので、多くのケースが想定できます。
また、

こんな感じで、細かいイラストやリーズニングを考えていくとクロージングまで残るかなぁというかなり楽観的な思考で出してみました。


R2
THW prohibit credit rating companies from downgrading the debt of countries which are in the process of fiscal reconstruction with the assistance of the IMF.

最初はtechnocracyを出そうとしたのですが、直前の海外大会で出てしまったので、差し替えました。ちなみに最初は「格付け会社ではなくIMFに評価させる」というモーションでしたが、なんか違いが見えにくいという不平・不満により、えーい、完全に禁止じゃー!という勢いで誕生した力作です()
コンテキストとしてはギリシャです。国債の評価によって金利なども決定されるため、社会に与える影響は大きいと言えます。

Govとしては、IMFだけでは不十分という視点が大切です。
ⅰ)人々がまだ国債を買ってくれる。
信頼があるということで、国に投資してくれるということです。個人向け国債には特に影響を及ぼすと思います。
ⅱ)企業の誘致もしやすい。
国債の評価は国の通貨や組織そのものに対する信頼性にも関わっていると考えられます。一定の評価を得られれば、特に海外からの企業がビジネスを展開しやすくなると思います。
ⅲ)長期的にみて国債を返済しやすい。
格下げされないために利率が高くなることを防げるので、国債の返済もしやすくなります。特に経済の再建は長期的な課題となるので、長期的な負担を減らしていくことは大切だと言えます。
ここで、格付け会社の自由を奪っていることに注意しなければなりません。社会に与える影響が大きいから介入はOKというだけでは味気ないので、そもそも格付け会社のビジネスは各国の経済が成り立っている(存在している)から可能だとかいったもっともらしい理由も加えるようにしてもらえると嬉しいです。

Oppとしては、逆に投資が減ってしまうということがベースです。
ⅰ)買い手が正しい情報をもとに判断できない。
例えばAPではIMFが介入している国の国債がBランクで固定されたとしましょう。Bランクかもしれないし、それよりも下かもしれないというあやふやな情報しかアクセスできません。その結果、国債を買わないという選択をとることになります。(ちなみにそれでも買うというのがGovの主張です。)この辺りはイラストが重要です。この発想の前提として、格付け会社の信用はかなり高いということがあります。数年かけて調査を行い、国債の信用度を決定しているようです。日本についても震災、赤字の増加、不安定な政局といった包括的な理由により格下げが決まったそうです。多くの人がこの情報に頼っているからこそ、情報の質は保つ必要性があるということになります。
ⅱ)短期的な資金調達をしにくくなる。
若干うそくさいですが、上述したように評価が低いと利率が高いので、買ってくれる人が増えるというアイディアです。
ⅲ)自由や権利についての話。
会社の評価を付けるという自由が侵害されています。また、市民の知る権利が侵害されています。確かにGovが言うようにfiscal reconstructionが達成できればいいかもしれないが、100%ではありません。もし、他の要因(災害など)で事態が悪くなったらどうでしょう。格付け会社は自社の信頼を失い、国債を買った市民も経済的損失を受けます。これは政府が規制したからです。third partyをこういったリスクにさらすことは正当化できません。なぜなら、IMFの介入が必要となったのはこの投資家や格付け会社の責任ではないからです。自己責任論の延長です。うまくパッケージすると、格好いいargumentになるのではないでしょうか()

クロージングは結構きつそうで、申し訳ありません。

(続きます)

石河敏成 東京大学薬学部3年。Tanacup Chief Adjudicator。 BP Novice 2011、Japan BP 2011, 21st ICU Tournamentでもジャッジブレイク。
Spring JPDU Tournament 2010準優勝、North East Asian Open 2010 EFL準優勝。

0 件のコメント:

コメントを投稿