先週までの流れ
0.はじめに なぜRefuteが大切なのか??
Ⅰ.Refuteにおいて何が大切なのか??
Ⅱ.どこに反論するのか WHERE TO REFUTE ??
A.反論する上で理解しておくこと
B.どこにRefuteするのか、方法論
Ⅲ.どう反論するのか HOW TO REFUTE ??
どこに反論するのかを考えた後、次に大切なのはどのようにRefuteするか、です。Refuteをどうするか、基本はアーギュメントを言うときと同じく分かりやすくいう事です。プラクティカルなら可能ならAREAで説明するように心がけたりするとよいでしょう。ただ自己満足的に相手を切るのではなく、Judgeに切れていますよ、相手の言っていることは違うんですよ、と伝わっているのかどうか、という視点から考えることが大切です。
この前提を押さえた上で具体的にどのように反論するのかについて汎用性の高いものを中心に見ていきます。
1) Philo.の切り方
Philo.を切るのは2通りあります。①相手のcriteriaを否定する、②相手のcriteriaを認めた上でapplicabilityを切る。この2点です。そもそもPhilo.というのは基本的に線を引くもの。①ならその線引きの観点自体が違うといい、②ならその線引きの観点はあっていても、このmotionのケースにおいて違うのだということを言う、ということになります。ただし③もちろん例外もあります。
①Criteria自体を否定する時
この方法は経験上難しくまた数も少ないと思います。なぜ難しいのかというと、相手のcriteriaが間違っているということは、すなわち自分たちの側から新しいcriteriaを提示することになり、ついつい自分たちのcriteriaを押し付けているかのようにJudgeがとりがちだからです。この時自分たちの押し付けRefuteを避けるためには、相手のcriteriaの反例を提示し、さらに相手のcriteriaの観点があっていたとしても、その線引きの場所が間違っている、すなわち高いラインが必要であり、今回のケースにおいてはそのバーを越えていないのだというRefuteをした上で、自分たちの新しいcriteriaが正しいという見せ方をするのが良いでしょう。
Ex) THBT attempted crimes should have the same punishments as those
that were successfully carried out.
結果無価値論と行為無価値論という法学上(特に刑法上)でも二つの価値理念がぶつかります。つまりintentionがPunishmentのcriteriaになるというGov.とconsequenceがPunishment のcriteriaになるというOpp.というのが基本のラインかと思います。Opp.のconsequenceが大切という話に対してGov.としては、現状でconsequence以外がcriteriaになっている反例、例えば自動車事故の過失致死犯のうち相当の注意をもってもその事故をさけることができなかった場合などに減刑されている例などを持ち出してConsequenceだけがcriteriaではないことなどを示し、さらに相手の言うconsequenceが大事な理由が相手のベンチをuniqueにsupportしているだけでなく、rehabilitationの観点からこちらもサポートしえるとフリップするのが一番engageしているように見えるかと思います。その上で自分たちのアーギュメントを立ててあげるのがいいのかな、と。さらに言うとapplicabilityの観点からもRefuteできて、Opp.の言っているconsequenceの不確かさ、すなわち結果的には未遂犯になったけれどそれが未遂になったのはたまたま拳銃の操縦技術的に技術がなくて銃弾を外しただけ、などのような、caseを具体化することによって相手のいうcriteriaが正しかったとしてもその行為の結果と行為自体の連関が薄いことを示して相手の言う話を一定削ることもできそうな気がします。
②criteriaを否定せずにapplicabilityを否定する時
Philo.にRefuteする時はだいたいがこの形のRefuteになることが多いように思います。というのもまず前のスピーカーが立論する時点で割とapplicabilityが薄くなる傾向があり、さらに言うとcriteriaに反論するよりはRefuteしている感じが出しやすく、自分たちのアーギュメントやstanceから派生するRefuteが出やすいことなどがその理由です。
Ex) THW legalize prostitutions.
もちろん色々なstanceをとることは可能(例えばPractically good だけでいくなど)ですが、例えばGov.なら、choiceの話、つまりRationalにCompareできる限りは一つのchoiceとして認められるべきという話ができると思います。恐らくBoxerやConstructive citeのWorkerの話がアナロジーとして上がりますね。この時どうするのか。Opp.はおそらくこのRationalityがcriteriaになることは否定はしません。だけどこのケースにおいてrationalじゃないこと、つまりapplicabilityのところを否定することになります。ケース設定がthird worldなら、人々がお金に苦しんでいればいるほど先のことまで考える余裕がないとも言えますし、家族からのプレッシャーがどう働いているのかなどを具体的に説明することで十分有効なRefuteになると思います。
③上記の例外
例外といっても結構多いのですが、philo.自体にRefuteできない場合があります。どういう場合かというとそれが完全にPracticalに依存している時などです。
Ex) THW introduce a universal basic income.
いろいろな分析が出るとは思いますが、Gov.ならGovernmentがCitizenのStableな生活を保障するべき、というPhilo.が出てくるかもしれないと思います。この時重要なのは、いくらPhilo.が立っていても本当にこのmotionをとることによってStableな生活が保障されるのかどうかという点にかかってきます。よってPhilo.へのRefuteはしないか時間をかけない、その分を丁寧にpracticalのRefuteに回してあげればいいのかな、と思います。
Ex) THW make obese citizens fully pay their own medical expenses.
これも似たような感じです。確かにGov.からGov.が健康を守るべきという分析が出てくるかもしれないけれど、結局健康を改善できるの?それがこの方法じゃなきゃいけないの??という点にかかってくると思います。よってこの場合においても、このPhilo.がプラクティカルな結果によることを言って丁寧にRefuteする方がいいと思います。
2)
Practicalの切り方
Practicalは切る場所を間違えない限り大きな問題はないと思いますが、そもそも何を目指してPracticalのRefuteをするのかを考えてみるとRefuteしやすくなると思います。
何を目標にRefuteするのかを少し考えてみます。その目標に近づくのにどうしたらいいのかを跡で考えます。
PracticalのRefuteをGov.に対してする時はだいたい4つの目標があるんじゃないかな、と思います。
①Problemはそこまで深刻ではない ②ProblemがあったとしてもこれがUniqueな方法ではない ③Solvencyがない(故にBenefitはおこらない) ④Benefitがあったとしてもさほど重要じゃない。
逆にOpp.に対してする時にも4つくらい目標があると思います。
もちろんこれらの目標に対する比重は、Motionによって、またはとりうるstanceによって変わってくるところだとは思いますが、基本的には上の4つの目標がベースになると考えて良いと思います。
以上の8つを分析すると結局は①SQの分析、②各々のBenefit/Harmに至るmechanismの分析、③ImpactのCompare、④MotionのUniquenessの分析とまとめることができると思います。以下概論的にはなりますがそれぞれについて見ていこうと思います。
①SQの分析
SQの分析をする前提として、絶対に現実世界を忘れないこと。Motionを見たときにぱっとProblemが想像できるようなmotionにおいてproblemを否定することは難しいです。そもそもDebateのmotionになっているものは何かしらのproblemがあるからこそmotionになっているはずなので、ぱっとみてproblemが思いつくレベルのmotionではいたずらにproblemを否定したりとか、逆にそのproblemの分析ばかりに時間をかけすぎないことを勧めます。
この前提を踏まえた上でSQのproblemについて争いになる場合を考えたいと思います。SQのproblemをOpp.が何等かのRefuteで否定してきた場合には、Gov.は知っているならFactを出すこと、その上で相手のlogicにRefuteし、さらにそのproblemをイラストするなどの対処をするといいと思います。逆にOpp.として相手のproblemを否定したい時には、まずそのproblemがGov.の言うような理由で起きているのか、仮にそうだったとしても現状がそんなにひどいのか、などを考えてみるといいのかな、と思います。
Ex) THW set a quota on females in the board of directors of business
corporations.
このmotionではOpp.はproblemを全否定することは厳しいだろうことを念頭においた方がいいですね。Gov.は女性が昇進しにくいなどのproblemを話すことになると思います。それに対してOpp.は女性だって能力があればある程度昇進できる、企業は利益追求団体だし。などの反論がきます。これによってOpp.は一定Gov.の提示したproblemがそこまでひどいものではないことを言えます。そしてOpp.は仮に今問題があったとしても法制度の改定に見られるようにある程度Gradual changeが起こりつつある。にもかかわらずこのmotionをとってしまうことは女性に逆風になる。という感じできたとします。この時Gov.としてはGradual changeに任せられないくらいのproblemが今起こっている、ということを証明したいですね。この時一番強いのは今実際に起こっているFactをいう事です。実際女性のboard of directors of business
corporations.に占める割合は1ケタのパーセンテージです。(詳しくはリサーチしてください。) そして働きたい女性が働けないという不平等の中にある。いくら企業が利益追求団体であったとしても、たとえば同じくらいの能力を持った男女がいたら、例えば趣味があう男の部下を採用したりしている。などのRefuteをすることでproblemを守れますね。
以上からFactがある程度の強さを持つこともわかりますし、caseをより具体的にすることによってどのようにProblemが起こっているのかを明確に伝えられると同時に相手のRefuteの前提(企業は利益追求団体)を共有した上でRefuteができると言えます。またここで強調したいのはFactを使うRefuteとlogicへのRefute、2つの種類がある、ということです。覚えておくと今後役立つと思います。
②各々のBenefit/Harmに至るmechanismの分析
相手のImpactが起こらないというためには、まず冷静に相手がどういうlogicで話しているのかを聞くことが1番大切です。その上で相手のBenefitとproblemの間にあるパイプが太いか細いかを判断します。またはHarmとmotionの間にあるパイプが太いか細いかを見ます。ここでいうlogicにたいするRefuteはそのパイプを切ってあげる作業と考えてもらえれば良くて、太いパイプでつながっているときにはしっかりRefuteしなければならず、あまり太くないパイプでつながっているときには軽くRefuteして他の所を伸ばすなり、Even if でCompareした方がいいのかな、と思います。
Ex) THW ban Death penalty.
Opp.が死刑制度による抑止力がAPでなくなるから犯罪が増加する、というアーギュメントを立てたとします。この時Opp.のインパクトとmotionの間のパイプを確認してみると、死刑という強力な罰則が消えれば、自分が殺されることはないと思って犯罪をしやすくなるという類のAnalysisがパイプになっています。
作業は次の3つです。
まずパイプがImpactに行きつかないで切れてしまっていること
死刑がなくなったから犯罪が増えるというのは少々乱暴な話です。死刑にならなくても重く罰せられることには変わりはありません。死刑に値するような罪は死刑がなくなったとしても、終身刑や無期懲役に処せられる以上、死刑がなくなったからといってすぐに犯罪がそんなに増えるかというとそうではないという風に思われます。
次にパイプ自体がRefuteによってきれること
犯罪者は犯罪を犯す時に死刑があるかないかなんて考えていないし、考える余裕もないくらいIrrationalになっていたりとか、そもそも性格的に自分の思った通り行動したいという強い傾向をもっているからこそ死刑に値するような犯罪を犯しているのだと思います。つまり死刑に値するとかあまり考える余裕はないために、抑止力はそこまで大きな意味をなさず、よってOpp.の主張するようなHarmも起こりえないと言えると思います。
そしてパイプが非常に少ないこと(Compareへの布石)
仮に抑止力に意味があったとしても、上記のRefuteから、抑止力が意味をなす行為者はいたとしても少数であると言えると思います。よってOpp.のいうHarmはそれほど大きくはありません。この大きくないHarmと自分たちGov.が押すBenefitを比較した時に、Opp.のいうHarmを優先する理由はないと言えます。
以上がPracticalでいうlogicを切るという作業の1例だと思います。Benefitそのものを切るんじゃなくて、そこにいたるパイプを切っているんだというイメージ…人それぞれイメージは違いますが、ただ自分たちのアーギュメンとを押し付けているだけ、と言われがちな人はまず自分の中でこうしたRefuteへのイメージを作ってみるといいと思います。
③ImpactのCompare
たまにインパクトも完全に切ろうとすることを目指す人がいるかと思いますが、個人的には無理じゃないのかな、と思います。ディベートになっている以上は何等かのlogicでBenefitやHarmが起こるということが言えると思うので。加えてWhipの仕事は相手を切る、ということではなくて、ベンチとして勝つために必要な仕事をすることかと思います。故に自分たちのケースとコンペアをすることで勝ちを示してみてはどうでしょうか。
この時に注意すべきことがあります。
たまにただひたすら描写を加えてコンペアをする方もいますが、これは相当具体化するなどの特筆すべき表現がない限り、具体化だけで有効なコンペアをすることは難しいと思います。
コンペアになれないうちは基本に立ち返りましょう。
NAのディベートでインパクトを示す時に、Quality, Quantity, Term,など他にもあるかと思いますがcriteriaを習ったことかと思います。それと一緒です。自分なりのcriteriaを設けて、この点でコンペアした時に勝っている、という証明をしましょう。というのも、全ての場面において勝っているBenefit/Harm等はなかなか存在しませんし、fairであるべきJudgeとしてはディベータ―かたセットされたcriteriaに沿ってディベート全体を見直すことが可能になります。だからこそ明示的にcriteriaをセットしたコンペアは何のcriteriaを設けないコンペアよりも一定程度説得力があるのではないかと考えます。
④MotionのUniqueness
本当にこのmotionじゃなきゃ解決しないの?? 本当にこのmotionだからHarmが生じるの?? など、Motionとmatterのリンクに疑問を持つことから、Motionのuniquenessについての反論が始まるかと思います。ここの点を意識することは、むしろコンストの際にも非常に有用かと思います。
3)補足する点
ここまであたかも形式論について書いてきました。勿論ラウンドの中では臨機応変に対応することが求められますし、人それぞれの考え方があるので、この形式論の有用性は限られたものです。
ただ個人的には、最初というのは型が大切なのではないのかな、と思っています。
思い出せば最初にサークルに入った時、先輩方に教えていただいたのは、AREA SQ APといったいわばDebateの型についての概念でした。ならばWhipを初めてやるときも、最初は自分なりの型を用意しておいて、だんだん慣れてきたらどんどん自分の思うように人によっては型を変形したり、人によってはもう型なんて無視してどんどんいい反論を飛ばすのも良いかと思います。最初は先輩が作ってくださったレジュメを見ながらコンストしていたのに、今になってはもうその紙がなくても話せるようになったみたいに。
こうした意図…どんな時でも基本に立ち返りましょう、という意図…のもとで、今回の記事は書きました。
参考になるところが一つでもあればいいな、と思います。
読んでいただきありがとうございました。
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