*経営者が労働者より立場が高い理由に単純に給料に関する権利や人事権というのもありますが、その数の多さにも理由があります。経営者としては、あまり能力の差がみられない労働者が多くいると、高い賃金を求める労働者よりも安い賃金でたえてくれる労働者を優先するでしょう。そうなった時、高い賃金を求めていた労働者はその高い賃金を諦めざるを得ないでしょう。いわゆる足元をみられるとういやつです。
Asbest 君
「今の時代、労働組合とかあんまり聞かないし。新宿駅で国鉄時代の労組出身の人が裁判関係で運動してたりするけど、春闘(労働組合の運動)とか毎回、賃金据え置きで労働組合って本当に労働者の生活を守るために機能しているの?機能していない≒必要ないってことでしょっ」
我ながらよい質問だと思いました(いやAsbest 君ですね苦笑) 答えはYes でありNo であります。というのは、労働組合の存在は活動しなくても、見えない形で圧力を変えて、労働者の利益を守っているという意味ではYesである一方で、労働組合の構成員が減ったり、組合運動をしなかったら次のポストを約束するという暗黙の了解を作ることで、労働組合を空洞化させたりして、労働者の利益が守り切れていないという意味ではNoです。
*今回のモーションの意図とは多少離れますが、労働組合の必要性が薄れてきた一つに労働市場の流動性があがったという背景があります。この流動性と言うのは、簡単に言うと転職のしやすさです。日本は一般的に、終身雇用だったりで転職がしにくいので、労働市場の流動性が少ないって言われています。アメリカのような転職をどんどんしているところにおいては、労働組合は必要ないです。なぜなら、賃金や福利厚生に不満を持ったら、労働運動して失職するリスクを冒すより、さっさとよりよい条件をめざして転職すればいい訳ですから。こういう話かなんかはオポの労働者の利益を守るために労働組合が必要って議論に対応する反論として使えるんでしょうかね。とはいえ、スキルや転職のための費用を十分には持ち合わせていない貧困労働者にとっては、転職なんてのは非現実的ですから、まだまだ労働組合は必要と言えるでしょう。
オポの議論をまとめてみると、労働市場の流動性が上がってきたとはいえ、経営者と労働者のアンバランスな関係は依然として強く残っているので、労働者の利益を守るために労働組合は必要だということになるでしょう。
(つづきます)
石渡慧一
国際基督教大学卒業、東京大学公共政策大学院修士1年。2009年度ICUDS部長。Australs 2009 ESLブレイク、 All-Asian 2008 EFLブレイク(なお、この年の北東アジア参加者の中で1位)、NEAO 2009 EFL ブレイク、NEAO 2010 ジャッジブレイク
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